フィンランド大手製紙メーカーのUPM社とStora Enso社は欧州製紙産業の直面する危機を段階的に解決する策を模索しているが、両社の大型合併が唯一の解決法かもしれない。欧州製紙産業は世界債務危機及び電子媒体への移行で特に新聞用紙、雑誌や事務用紙分野で10-15%の能力が過剰していると見られている。この分野でUPM社の生産能力シェアは22%、Stora Enso16% , Sappi7.6%, Norke Skog5%, Burgo5%。ヘルシンキが本社の両社は2006年以降いくつもの工場閉鎖を実施しているが、アナリストは今後欧州製紙産業では更なる統合が不可欠と見ており、合併は生産過剰体制や価格を大幅にコントロール可能で自社及び競争相手にとって有益と指摘している。両社にとって製紙部門は比重が高く,UPM社売上の69%、Stora Enso社は51%を占めている。2012年4-6月の両社の製紙事業基礎マージン率はStora Enso3.5%、UPM0.1% であった。合併により生産設備を統合し、包装材やラベル等重複しない部門では更なる成長が期待出来る為利益の拡大が可能となる。合併には欧州公正取引委員会の監視・精査が必要だが、若干の修正することで先行きは明るく、最近アンチトラスト規制が若干緩和してきているとの声もある。合併の障害として、両社は同じフィンランドメーカーだが株主構成が大きく異なっているが考えられる。Stora Ensoはフィンランド政府が25.1%の議決権を有し、他にスェーデンWallenberg家が議決権の多数を占めているが、UPM社の株主は広く分散している。両社が対応に慎重な背景には時間を掛ければ、掛けるほど、脆弱メーカーの工場停止や破産が進行することを見込んでいる可能性もある。 10月5日付け RISI及び 10月4日付けReuterから抜粋
出典:日本紙類輸出組合・日本紙類輸入組合 ペーパー・トレード ブログ