欧州新聞用紙業界は国内需要の減退及び供給過剰下で苦境に立たされている。2008年以来需要が270万㌧減少したものの、生産能力は僅か150万㌧削減されただけ。2012年メーカー側は需給バランス改善に向けユーロ安を背景に29.8万㌧の輸出純増を図ったが、52万㌧の需要減退の改善にはなっていない。西ヨーロッパの操業率は2002年の景気後退時に86%、2009年財政危機時は82%に下落し、2010年から92%以下、2012年1-9月平均90%以下となっている。最近発表された大手メーカー(Stora Enso, SCA,Burgo社等)の需給均衡を狙った能力削減計画により、2013年後半に操業率は96%程度まで急速に回復が期待される。今後輸出面では、欧州メーカーは利益改善に向け、余分な数量を大幅値引きで輸出することを控え、特にラテンアメリカやアジアには欧州品が出回る機会が少なくなる見込み。兎に角、欧州能力削減の波は欧州市場以外世界の需給バランスに与える影響は大きい。
April 2013 Pulp & Paper International から抜粋
出典:日本紙類輸出組合・日本紙類輸入組合 ペーパー・トレード ブログ