紙パ企業の第１四半期決算（10年４～６月）の発表が始まった。当期は、景気の底入れ感は強まったものの依然として先行き不透明感が払拭しきれない状況を反映し、紙パの業績も増収増益企業がある一方、減収減益の会社もあり、不安定な現状を示した。以下に、発表のあった企業から、第１四半期業績と通期予想を紹介する（連結ベース。単位：100万円。カッコ内は前年同期比）。
●王子製紙
〔第１四半期業績〕
　売上高 283,697 （＋1.1％）
　営業益 16,027 （＋24.8％）
　経常益 15,373 （＋39.0％）
　当期益 8,361 （＋44.1％）
〔通期業績予想〕
　売上高 1,200,000 （＋4.6％）
　営業益 70,000 （▲5.0％）
　経常益 60,000 （▲7.3％）
　当期益 28,000 （＋12.4％）
　大幅な販売回復は見込めない状況下、コスト削減を進めるとともに、アジア需要の取り込み、素材加工一体型ビジネス、研究開発型ビジネスの拡大など、事業構造の転換を図っている。各製品の販売概況は以下の通り。
○一般洋紙…新聞用紙の国内販売は若干減少、輸出も減少した。印刷用紙は、塗工紙を中心に低調に推移し、輸出は中国で南通プロジェクトのプレセールを実施したため増加した。
○包装用紙…国内・輸出ともに需要が回復し増加した。
○板紙…段ボール原紙は前年同期並み、白板紙は特板が前年を上回ったものの高板、コート白ボールは減少した。
○段ボール製品…電機向けなどの回復により微増となった。
○その他…雑種紙は国内・輸出ともに微増、ティシュ・TPは減少、紙おむつはベビー用テープ型、大人用尿パッドが減少した。
●日本製紙グループ本社
〔第１四半期業績〕
　売上高 273,028 （＋7.3％）
　営業益 8,842 （＋22.6％）
　経常益 7,664 （▲5.2％）
　当期益 3,796 （＋100.2％）
〔通期業績予想〕
　売上高 1,140,000 （＋4.1％）
　営業益 42,000 （▲2.7％）
　経常益 36,000 （▲4.1％）
　当期益 20,000 （▲33.4％）
　事業別の状況は以下の通り。
○紙パルプ事業…売上高2,228億1,100万円（前年同期比＋9.3％）、営業利益65億3,200万円（同▲2.0％）。新聞用紙・一般洋紙の国内販売は、サッカーワールドカップや参議院選挙などの好材料はあっ たものの、需要低迷により前年同期並み。 板紙は需要の回復が見られ、段ボール原紙などの国内販売が前年同期比プラス。
○紙関連事業…売上高227億2,800万円（同＋4.6％）、営業利益18億7,000万円（同＋189.5％）。液体用紙容器の販売量は前年割れ。 化成品事業は前年同期を上回った。
○木材・建材・土木建設関連事業…売上高127億5,300万円（同＋4.0％）、営業利益３億3,400万円。
○その他…売上高147億3,500万円（同▲11.4％）、営業利益１億400万円。
●大王製紙
〔第１四半期業績〕
　売上高 96,638 （▲7.6％）
　営業益 3,589 （▲31.5％）
　経常益 1,672 （▲52.1％）
　当期益 ▲107 （ － ）
〔通期業績予想〕
　売上高 425,000 （＋0.4％）
　営業益 20,000 （▲12.2％）
　経常益 11,500 （▲17.0％）
　当期益 1,500 （▲3.5％）
　引き続き厳しい状況にある中、高付加価値商品の開発・拡販と、生産効率の向上、変動費・固定費の削減などを進め、収益力の強化を図った。主な品種別の販売状況は以下の通り。
　新聞用紙は、業界平均では頁数の減少傾向が続いたが、大王製紙は数 量・金額ともに前年同期を上回った。 一方、印刷用紙は、チラシ・カタログなどの需要減少、輸入紙の増加により、数量・金額ともに前年割れ。 段ボールは、天候不順による需要減少の影響を受けた一方、自動車・電機産業で需要が回復傾向にあったことから、数量は前年同期を上回った。ただし価格下落の影響を受け、金額は前年割れ。 家庭紙は、価格が回復せず数量・金額ともに前年同期を下回った。  紙おむつは、ベビー用・大人用ともに数量・金額ともに前年同期比プラス。
●中越パルプ工業
〔第１四半期業績〕
　売上高 25,014 （▲0.3％）
　営業益 317 （▲12.7％）
　経常益 264 （＋7.1％）
　当期益 ▲122 （ － ）
〔通期業績予想〕
　売上高 103,000 （＋2.6％）
　営業益 2,500 （＋3.3％）
　経常益 1,800 （＋3.4％）
　当期益 1,000 （ － ）