製紙機械の設計・製作・施工を手がける丸十鉄工所（静岡県富士市）はこのほど、古くなった製紙機械を修理し“再生”させるメンテナンス事業「製紙メーカー専用・マシン再生サポート“生涯現役”」を全国規模で開始した。
　丸十鉄工所の創業は明治42（1909）年。鍛冶屋から始まり、地元に鉄工所がない時代には「火の見櫓」や「鉄橋」なども作っていた。しかし“紙のまち富士市”という地域柄、製紙メーカー向けの仕事が多くなり、故障した機械の復旧を手がけるケースも増えていった。特にリーマンショック以降、修理・復旧の需要が目立ったことから、メンテナンス市場への本格参入を決めたもの。
　「～再生サポート“生涯現役”」では、製紙メーカーから電話で申込みを受けると丸十の技術者が工場に出向き、機械のコンディションをチェックして不具合を検出、見積もりを提示して補修に当たる。また、トラブル発生など緊急の場合は、“レスキュー隊”を結成して現場へ直行し、見積もり提示後即時対応で修理する。
　大手の機械メーカーと違い、同社の特長は小回りのきく“短納期”、“低コスト”、“無理のきく対応”。例えば外国製の機械や製造が終了しているものでも、その場で最善策を判断し、図面がなくても部品１個から製作・修理してくれるという。製紙機械は高額かつ頑丈なものが多く、部品一つのために買い替えるとなると億単位のコストがかかる。中小の製紙メーカーにとっては大きな負担であり、「現状のマシンを修理・復旧できれば大幅なコストダウンにつながる」と、丸十鉄工所はメンテナンス事業に意欲を見せている。なお同事業は、富士市産業支援センターf－Bizのサポートを受けてスタートした。
 

株式会社　紙業タイムス社　「Future　12/6号」より