三菱電機は、王子製紙が中国の南通プロジェクトで建設を進めている大規模クラフトパルプ製造装置用のオゾン製造設備を、約10億円で受注した。発注者は江蘇王子製紙有限公司。
王子製紙は、東アジア市場の拡大を見据え、2007年に中国江蘇省南通市に高級紙とクラフトパルプを製造する江蘇王子製紙有限公司を設立、今年1月から高級紙の出荷を開始した。続いて現在は、年間生産量70万t超の大規模クラフトパルプ製造装置を、13年の稼働に向けて建設中だ。
三菱電機が受注したオゾン製造設備は、このクラフトパルプ製造装置の漂白工程に用いるもの。オゾンは三つの酸素原子からなる分子(O3)で、塩素に勝る強い酸化力を持っている。この酸化反応で漂白、脱臭、脱色などの水質改善ができ、また反応後は酸素に戻る。オゾンを使うことで塩素使用量を最小限にし、製造排水に含まれる有害な塩素化合物の発生を抑えられる。これによって環境負荷を軽減できるというわけだ。
江蘇王子製紙のオゾン総発生量の計画値は毎時600kgとなっており、オゾン発生量としては東アジア最大級。オゾン製造設備は12年2月頃に三菱電機から出荷され、予定では13年に稼働を開始する。
三菱電機は、放電技術を応用してオゾンを発生させるオゾナイザの国内販売で40年以上の歴史があり、上下水道分野を中心に1,600台以上の納入実績を持つ。今回のオゾン設備は、05年度に開発した高濃度オゾン発生器を適用したもので、同社では、「今後もパルプ漂白や産業排水処理などへの適用を進めていく」としている。
株式会社 紙業タイムス社 「Future 3/21号」より