豊田通商は11月から、ナノテクノロジー素材を使用した世界初の『窓用遮熱・断熱フィルム』を試験販売する。
　製品化に向けて開発を担当したのは、次世代光学材料を製造販売するベンチャー企業、グランデックス（豊田通商などが出資）と、機能性フィルムを製造販売する東洋包材。豊田通商では今後、試験販売およびモニタリングの結果を踏まえながら、オフィス・工場、学校などの法人を対象に、12年４月から正式販売する予定。
　新製品の特徴は高い透明度と断熱性。フィルムにはグランデックスが開発した世界初の次世代光学材料「ナノバルーンシリカ」が採用されている。ナノバルーンシリカとは、シリカ（二酸化ケイ素）でできた風船のような形状をしたナノ粒子で、透明断熱性と光拡散性を特徴とする。
　従来の窓用フィルムは、一般的に熱を遮る夏向けの商材と認識されているが、豊田通商が発売する『窓用遮熱・断熱フィルム』は、ナノバルーンシリカの断熱効果により、消費電力が夏場の約1.2倍となる冬場の暖房効率向上にも有効。名古屋工業大学の調べによると、30％の消費電力削減効果が確認されている。また、透明度が高いにもかかわらず（可視光線透過率76％）、日差しも約80％カットする。さらにミラー効果が低いため（可視光線反射率12.3％）、建物の外観も損なわない 。紫外線を99％カットするので家具やカーテンの色褪せを軽減できるほか、日射吸収率を抑えたことで（17.5％）、夏の熱割れリスクも軽減している。
 

株式会社　紙業タイムス社　「Ｆｕｔｕｒｅ　11/21号」より