森林総合研究所はこのほど、衛星を使って森林被覆率を測定する際の適正なサンプリング率が、「20%以上」であることを明らかにした。
地球温暖化の原因の一つに、熱帯林の森林減少があると言われる中、森林の状況を定量的に捉える有効な方法として、近年は人工衛星などから地表を観測するリモートセンシングという技術が活用されている。この技術を使って、森林被覆率(森林が土地を覆っている割合)を測定するわけだが、これには、対象地域全域の衛星画像データを解析して森林被覆図を作成する方法と、一定のエリアを抜き出して全体を推定するサンプリングによる方法がある。
全域の森林被覆図を作成する方法は、解析範囲内すべてを網羅するため費用や労力がかかる。一方サンプリングによる方法は、少ない面積の解析で済むため費用や労力は抑えられるが、サンプリング率によって推定値に違いが出るのが欠点。
そこで森林総合研究所は、サンプリング率の違いが森林被覆率の推定値にどのように影響するかを、離島を除く日本全域を対象に調べた。その結果、サンプリング率が10%以下だと森林被覆率の推定値は60~80%と大きな幅が生じ、正確に推定できなかった(国の統計データによると森林被覆率は約67%)。そして、森林被覆率を確実に推定するためには、20%以上のサンプリング率が必要であることが分かった。
今回の調査で森林総合研究所が用いた手法は、国連食糧農業機関の「森林資源評価2010」で実施されているリモートセンシング資源調査に役立てられており、森林被覆が十分に把握されていない発展途上国で森林被覆率を推定する際の指標として役立つことが期待されている。
株式会社 紙業タイムス社 「Future 11/14号」より