日本製紙連合会が集計した９月の需給速報によると、紙・板紙の国内出荷は前年同月比▲0.1％の221万t。うち紙は▲1.2％の126.7万tで、前月の増加から再び減少に転じた。これに対し板紙は＋1.4％の94.3万tと、伸び率は鈍化するも前月に続きプラスとなった。主要品種では塗工紙、包装用紙、板紙を除き減少している。
　紙・板紙のメーカー輸出は前年同月比▲49.9％の4.3万tで、前年割れは13ヵ月連続となる。震災以降、国内向け優先などの事情から伸び率は半減している。国内向けと輸出を合わせた紙・板紙のメーカー出荷は同▲2.0％の225.4万t。一方、生産は▲4.7％の217.6万tと出荷よりマイナス幅が大きい。
　この結果、紙・板紙の９月末在庫は前月比▲12.2万tと、紙を中心に減少（紙▲10.2万t、板紙▲２万t）。ただし、この中には震災などによる滅失分が、塗工紙を中心に紙で4.4万t含まれている。震災による滅失在庫の報告は３～８月の累計が2.5万tに達していたが、９月は半期の会計処理の関係からか単月でこれを大きく上回っている。
　以下、主要品種の動向である。
〔印刷・情報用紙〕国内出荷は前年同月比▲0.7％の72.1万t。輸入増の影響を受けていると見られるが、価格修正のアナウンスに伴う前倒し需要などもあり、ほぼ横バイ。他方、メーカー輸出は同▲60.7％の2.7万tで、塗工紙を中心に12ヵ月連続の減少だった。
〔包装用紙〕国内出荷は前年同月比＋5.2％の7.5万tと、価格修正に伴う前倒し需要などを受け５ヵ月ぶりに増加に転じた。
〔板紙〕段ボール原紙の国内出荷は前年同月比＋0.3％の73.2万t。台風など天候不順の影響を受けたものの、やはり価格修正に伴う前倒し需要などがあり微増。他方、白板紙の国内出荷は＋8.9％の14.2万t。同じく価格修正に伴う前倒し需要などにより、主要品種の中で最も高い伸びとなっている。
　なお本誌前号で、段ボール原紙の値上げをアナウンスしているメーカーとしてレンゴー（10月1日～）、日本大昭和板紙（11月21日～）、大王製紙（同）の社名を挙げたが、最大手の王子板紙も11月21日出荷分からの値上げを表明している。また同社は、特殊板紙についても同日からの値上げを実施する。上げ幅は、いずれも現行価格より10％以上。
　同社は「世界的な原燃料価格の高騰により、08年10月に価格改定を行った。その後のリーマン・ショックで原燃料価格が急落したことから、09年4月に製品価格を下方修正し今日に至っている。だが前回の値下げ以降、原燃料価格が再び上昇に転じており、急速に収益を圧迫している。この間、さまざまなコストダウンによる吸収努力を重ねたが、再生産を継続するうえでは製品価格に転嫁せざるを得ない水準まで原燃料価格が高騰したため、価格改定をお願いすることにした」と説明している。
 

株式会社　紙業タイムス社　「Ｆｕｔｕｒｅ　11/14号」より