＝紙パの第２四半期＝　板紙堅調、洋紙低調、原燃料高が続く紙パ業界
　紙パ企業の第２四半期決算（2011年４～９月）の発表が始まった。第２四半期の日本経済は、震災後の低迷から徐々に持ち直しつつあったものの、米国、欧州の財政不安や過去最高水準を記録した円高が、新たな不安材料として浮上した。紙パ業界では、板紙が堅調に推移する一方、洋紙は依然として厳しく、原燃料高が収益を圧迫する状況も続いている。以下、先に発表のあった王子製紙、日本製紙G本社、レンゴーの決算を紹介する（連結ベース、単位：100万円、カッコ内は前年同期比）。
●王子製紙
〔第２四半期業績〕
　売上高 611,411 （＋6.9％）
　営業益 33,101 （＋7.5％）
　経常益 23,525 （▲14.5％）
　当期益 12,005 （▲9.9％）
〔通期業績予想〕
　売上高 1,250,000 （＋5.9％）
　営業益 68,000 （＋3.9％）
　経常益 57,000 （▲5.4％）
　当期益 28,000 （＋13.7％ ）
　王子製紙グループはアジア需要の取り込みを図っており、第２四半期はマレーシアで段ボール、ブラジルで感熱・ノーカーボン紙の事業拠点を取得した。一方、国内では固定費を中心としたコストダウンを進めたほか、富士地区で抄紙機２台の停止を実施した。品種別の販売状況では、段ボール原紙は需要の堅調に加え飲料・加工食品関連で震災後の在庫補充などがあり増加。白板紙も高板、特板、コート白ボールともに前年を上回り、包装用紙も前年比プラス。一方、洋紙は新聞用紙、印刷用紙ともに前年割れとなった。家庭紙は、ティシュは増加したが、トイレットペーパーは前年同期を下回った。
　なお通期予想については、売上高は前回発表（５月）と同じだが、営業利益はコストダウンが進んだことと円高により上方修正。しかし営業外損益が悪化したため、経常・当期純利益は前回予想を変更していない。
●日本製紙グループ本社
〔第２四半期業績〕
　売上高 511,536 （▲7.2％）
　営業益 14,440 （▲14.2％）
　経常益 ▲12,504 （ － ）
　当期益 ▲39,209 （ － ）
〔通期業績予想〕
　売上高 1,055,000 （▲4.1％）
　営業益 35,000 （▲1.7％）
　経常益 5,000 （▲84.2％）
　当期益 ▲44,000 （ － ）
　震災被害が甚大だった石巻、岩沼、勿来の３工場のうち、岩沼と勿来は５月に全設備の操業を再開し、石巻も９月に一部抄紙機を再稼働させた。しかし、一般洋紙を中心に販売量が大きく落ち込み、原燃料価格の上昇もあって減収減益となった。品種別では、新聞用紙の販売量はページ減の影響などにより前年同期を下回り、一般洋紙はチラシなど広告用途の需要減に加えて震災の影響もあり、売上高は大幅減。板紙は、節電対策に伴う前倒し需要で段ボール原紙などの国内販売量が前年同期を上回った。家庭紙は、震災直後の買いだめ需要の反動で販売量は前年同期を下回った。液体用紙容器事業は、飲料メーカーの工場設備被災などにより前年割れ。
●レンゴー
〔第２四半期業績〕
　売上高 246,765 （＋2.5％）
　営業益 14,392 （▲16.2％）
　経常益 14,179 （▲13.6％）
　当期益 7,161 （▲10.8％）
〔通期業績予想〕
　売上高 490,000 （＋3.2％）
　営業益 31,000 （▲4.3％）
　経常益 30,000 （▲3.8％）
　当期益 16,000 （＋55.5％）
　レンゴーグループは全事業で競争力強化に努めると同時に、包装を中心とした周辺分野の事業拡大を目指し、国内外で新たな資本参加やグループ会社の再編を進めている。震災で壊滅的な被害を受けた仙台工場は、現在地（仙台市）での復旧が難しいため、黒川郡大和町の仙台北部中核工業団地で、12年３月開業に向け新工場を建設中。それ以外の事業所はすべて復旧している。
　事業別の概況では、板紙・紙加工関連の売上げは前年並みだったが、原燃料価格の上昇で減益。軟包装関連は、原料調達の一時的な滞りにより減収となったが、コスト削減効果で増益。重包装関連は積極的な営業展開により増収減益。海外関連は中国で連結子会社が増加したため増収となったが、原材料価格の上昇で減益。
 

株式会社　紙業タイムス社　「Future　11/28号」より