日本製紙ケミカルでは12月1日、基幹工場の江津事業所(島根県江津市)で新パルプマシン(3号マシン)が竣工した。投資金額は63億円。
日本製紙グループは事業の多角化に向け、紙以外の事業強化を進めており、今回の3号マシン新設もその一環。2009年12月に同マシンの建設を決定し、10年11月から工事を進めていた。江津事業所は国内唯一の溶解パルプ生産工場として、レーヨンやセロファンを製造する国内外のユーザー向けにシート形状(平判)の溶解パルプを供給してきたが、新マシンではロール形状(巻取)パルプを生産する。
木材成分(セルロース、ヘミセルロース、リグニン)の中で、紙用にはリグニン以外の成分を利用するが、化学工業用途にはセルロースの比率が高いパルプ(溶解パルプ)が求められ、シート製品はレーヨンやセロファンの原料に、一方ロール製品はセルロース誘導体(メチルセルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロースなど)の原料に使われる。3号マシンの完成によって、日本製紙ケミカルは高付加価値セルロース用途への参入を目指す。
株式会社 紙業タイムス社 「Future 12/19号」より