全日本印刷工業組合連合会は去る2月9日、都内で第35回全国印刷メディア協議会を開催した。当日は全国都道府県印刷工業組合加盟の印刷会社、また印刷機器や製紙など関連業界から、合わせて100名以上が参加。「デジタル時代の印刷力－紙の復権　印刷の逆襲」をテーマに行われた、3人の講師による講演に聞き入っていた。
　講演に先立ち、全国印刷メディア協議会の萩原誠議長は「環境が激変しているので原点を見つめ直し、積み重ねてきた経験と顧客からの信頼を生かして、今後の社会に必要とされる印刷業を目指したい」と挨拶した。
　講演では、まず全印工連・印刷産業ビジョン研究会副委員長の水野秀也氏が、紙がリサイクルに役立っている点を強調して「印刷に関わる人がまず自信を持とう」と講演。特定非営利活動法人クリーン・プリント理事長の阿部野耕一氏はペーパーメディアがサステナブルである点を強調、印刷の出来栄えが主観的判断だけでなされる時に生じる無駄を減らすため、数値項目の設定による評価の普及を訴えた。
　日本アイ・ビー・エム執行役員スマーター・シティ技術戦略担当の岩野和生氏は、印刷とデジタルを比較しながら「デジタルの情報伝達はスピードや処理性などで勝っても、定着性ある文化として生かし切れない」と語った。講演終了後は会場を移して懇親会が開かれ、歓談した。

株式会社　紙業タイムス社　「Ｆｕｔｕｒｅ　3/5号」より