東京・王子の紙の博物館では、今年も夏休み期間中の7~8月に、子どもたちを対象としたさまざまな夏のイベントを開催。参加した子供たちに、紙にちなんだ自由研究のヒントを提供して喜ばれた。
話題を集めたイベントの一つは、8月16日の「野菜から紙をつくろう」。学芸部の平野祐子さんによると、野菜の繊維から紙を作ることは理論上は可能だが、同博物館としても初めての実験。平野さん自身もキャベツやニンジンで練習してから指導した。また受講定員を10人に絞ったが、「見学だけでもしたい」「あとで作り方を教えて」という電話もあったほど関心を集めた。
当日使った野菜は長ネギとゴボウ。平野さんの指導に従って、小学4年生から中学1年生の子供たちはまず野菜から繊維を取り出すために、湯がいたネギをミキサーにかけ、洗ったゴボウをおろし金ですりつぶした。また抄き上げた紙の乾燥には、アイロンだと繊維が縮むので、和紙抄き用の鉄板を使った。
2時間余りをかけて作り上げた長ネギとゴボウの紙は100%野菜で、薬品などを使わないから自宅でも作れる。自宅でもう一度やろうとして問い合わせをしてきたり、セロリやパイナップルでの成功例を報告してきた子もいたという。
株式会社 紙業タイムス社 「Future9/17号」より