日本製紙はこのほど、挿し木増殖が難しいと言われる薬用植物のうち12種(マオウ属、チョウジなど)について、独自の発根技術を応用し挿し木による増殖技術を開発した。
古来から漢方薬や医薬品の原料として活用されてきた薬用植物は、近年、世界的に東洋医学への関心が高まっていることから、中国や欧米で需要が増大している。日本国内でも健康意識の向上を背景に漢方が見直され、医療に取り入れられるようになってきた。
しかし、国内で使用している薬用植物は80%以上が中国からの輸入とされ、また中国では、薬用植物の乱獲が砂漠化や資源の枯渇を招くとして、一部で輸出規制するなど、中国産生薬は価格が高騰する傾向にある。日本国内での薬用植物の栽培も検討されているが、挿し木増殖が難しいものが多く、一部植物種の栽培に留まっているのが現状だ。そのため、薬用植物の安定的な調達が社会的な課題となりつつある。
そこで日本製紙は、「独立行政法人 医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター」から薬用植物の地上部(茎葉)の譲渡を受け、独自に開発した発根技術である「光独立栄養培養技術」を応用して増殖に取り組んだ。その結果、12種の薬用植物で十分な発根を確認できたもの。これにより、薬用植物の挿し木苗を効率的に生産できるようになると同時に、薬用成分を多く含む優良系統を選別して増殖することも可能になる。
株式会社 紙業タイムス社 「Future12/24号」より