日本製紙はこのほど、溶解パルプの製造工程で発生する酸加水分解液の高度利用に向け、釧路工場にメタン発酵法を採用したバイオガス製造のテストプラントを設置した。
メタン発酵では、嫌気菌の働きにより有機分をメタンガスに変換し、得られたメタンガスを重油代替として利用できる。発生するメタンガスはCO2を排出しないカーボンニュートラルの燃料に定義されるため、重油の代替として使用すれば、CO2排出量を低減できる。日本製紙はすでに、クラフトパルプ製造工程で発生する廃液をメタン発酵処理しており、その技術を応用して今回のバイオガス製造が実現すれば、世界初の溶解パルプ酸加水分解液の高度利用となる。
またこの酸加水分解液は、さまざまな用途で活用できる可能性を秘めている。日本製紙としては、まずはメタン発酵処理による省資源化を推進するが、それ以外の利用法についても検討していく方針。木質資源の利用技術を高度化して事業領域を広げたい考え。
株式会社 紙業タイムス社 「Future4/15号」より