北越紀州製紙は5月2日、同社が大王製紙に要請している特別調査委設置をめぐる問題で、今後の大王の取組み次第によって、6月の株主総会で議決権行使などの措置をとると発表した。
この問題について、北越紀州製紙はかねて、同社の持分法適用関連会社である大王製紙に対し、①大王の関連会社だった川崎紙運輸による北越紀州製紙株式の買付け ②2012年度第3四半期連結会計期間における海外関連会社への投融資の損失処理 ③大王製紙従業員による内部告発などを問題視し、第三者による特別調査委員会の設置を求めてきた。しかし大王側は第三者委の設置要請を退け、企業統治改革委員会の下で設置した「利害関係のない第三者による外部委員会」による検証にとどめる方針を示している。
こうした大王の姿勢を受けて北越紀州は、4月10日付と23日付で、大王サイドに対し、調査対象などを恣意的に限定することがないよう、「外部委員会による検証において一定の事項を調査対象とすべきことなどを要請する書簡」を送付した。
北越紀州は書簡の送付と同時に「株主提案権の行使も検討した」模様だが、「大王のポテンシャルの高さは評価している」ことに変わりはなく、また大王の外部委員会による検証結果が5月に公表されることもあって、「定時株主総会における株主提案権の行使についてはあえて差し控える」としている。大王の自浄作用に期待し、外部委員会の検証結果を待つ、という形で一旦矛を収めたわけだが、検証結果や大王の取組みに納得がいかない場合には、「採り得る方策について何ら躊躇することなく適時・適切に判断していく」と、厳しい姿勢を示した。
株式会社 紙業タイムス社 「Future5/27号」より