7月12日から24日までの12日間、東京ドームで開催された第84回都市対抗野球大会（主催:日本野球連盟、毎日新聞社）に王子硬式野球部（春日井市）、日本製紙石巻硬式野球部（石巻市）が出場した。同大会は地区予選を勝ち抜いてきた32チームが優勝を争うトーナメント戦。

　王子硬式野球部は7年連続13回目の出場で、第75回大会で初優勝、79回大会では準優勝を成し遂げているが、本大会では14日の初戦で強豪チームのJR東日本と対戦。3連休の中日にもかかわらず、3塁側応援席を埋め尽くした応援団が声援を送り続けたが、相手チーム先発投手の好投に阻まれ、0対2と惜敗した。

　大会6日目、17日の第二試合に登場した日本製紙石巻硬式野球部は、1986年に日本製紙（当時は十條製紙）石巻工場で発足。93年に現名称に変更し、5年前からチーム強化に本腰を入れ始め、2010年の第81回大会に初出場。翌11年の東日本大震災で石巻工場が被災して一時は活動を休止、十分に練習できる環境ではない中、木村泰雄監督の指導のもと本社や地元の協力もあって、今回3年ぶり2回目の出場を果たした。

　初戦の相手・信越硬式野球クラブ（長野市）は、特定の企業に属さないクラブチーム。試練を乗り越えたチーム同士の対戦となったが、日本製紙は序盤に二度のリードを許すも、3回表の猛攻で7対3とリード。守っては途中から交代したバッテリー（ともに七十七銀行からの補強選手）が息の合ったところを見せて相手の反撃を抑え、木村監督の好采配がズバリ当たって初戦を突破した。続く第二戦は、19日のJFE西日本戦。先発投手の好投と7回以降の細かい継投策で相手の得点を最少に抑え、打っては2回に4長短打を集中させて4対1で快勝、ベスト8に駒を進めた。

　準々決勝は、21日（日）の第二試合。ベスト8進出に3塁側外野スタンドまで詰めかけた応援団のボルテージは高まったが、相手は王子を初戦で完封したJR東日本、しかも同じエースの先発とあって打線は2安打と抑え込まれ、0対4で敗退した。それでも東日本大震災後、初出場で初勝利、初のベスト8進出と、大健闘した日本製紙石巻硬式野球部。地元などから大挙駆けつけた応援団に力づけられ、野球部のスローガン「ペネトレイト」（突き抜けろ！）を実践した、文字通り熱い10日間を終えた。

 

株式会社　紙業タイムス社　「Future8/12号」より