電通総研は、2014年度の内定者(内々定者)の大学4年生および大学院2年生を対象に、就職活動が企業やブランドに及ぼす影響に関する調査「就職活動振り返り調査」を実施した。
2012年の厚生労働省調査によれば、就職活動を行う学生(短大生・大学院生除く)は約42万人。また1人当たりの受験企業数は平均約51社に上る(電通総研調べ)。
8月30日~9月1日に実施したこの調査では、就職活動中に受けた企業の印象によって、企業やその企業の商品・サービスに対する意識が変化することが分かった。電通総研は、「企業側にとって就職活動期間は、社員を採用する期間であると同時に、学生を未来の顧客と想定し、企業や商品の価値を伝えられる重要な機会でもある」と解説している。また今回の調査から、イマドキの就職活動生の意識を示すものとして、“プチしたたか”というキーワードを提示している。
以下、同社がまとめた調査結果のポイントを紹介する。
①就職活動期間とは、企業にとって未来の「社員」と「顧客」を獲得する期間
「就職活動を通じて企業の印象が変化することがあったか」と聞いたところ、全体の83.2%が「変化があった」と回答。どのように変わったかについては、「CM が目につくようになった」「商品/サービスを購入・利用したくなった」などの回答が多く見られた。また就職活動は、商品やサービスだけでなく、社員などを通してその企業を知る機会になっていることが分かった。特に「社員」の印象は企業の印象に直結しており、企業価値を伝える際に最も重要なのは「社員」つまり「人」であることが明らかになった。
②イマドキの就活生意識のキーワードは “プチしたたか”
今の就活生は、企業を規模や収入などの「スペック」だけで判断せず、多角的に捉え検証していることが分かった。「働くイメージが持てる、好感を持てる社員がいる」といった、企業と自分の関係性に重きを置く傾向が強く見受けられた。バブル期のようなロールモデルが不在の中、“自分らしく働ける、自分にとっての正解企業”を求める意識が強いと推察できる。
また、その企業が本当に正しいかどうか、第三者の評価で確認するという結果も出た。今の就活生は、就職先の見極めに第三者評価も活用し、また内定を得るために自分なりの戦略が必要とも考えており、選考過程でのウソや、練習台としての受験など、したたかに就職活動に取り組む一面が見られた。
株式会社 紙業タイムス社 「Future11/11号」より