第一工業製薬＝四日市に新工場を建設15年9月の操業目指す

　第一工業製薬は、2015年9月の操業を目指し、三重県四日市第3コンビナート内に新工場を建設する。“未来作りの城”として再編に取り組む。

　1909年に繊維用界面活性剤を製造し創業した同社は、界面化学の技術を元に裾野を広げ、多様な産業分野へ製品や技術を供給、2009年4月には創業100周年を迎えた。今回の新工場建設は、グローバル化が進む中、保有技術の応用や、新規事業のための設備投資が必要と判断したもの。

　三重県には、石油化学工業が集積し、自動車、電子・電気、医薬などに加え大学までを擁する産業クラスターが存在する。こうした地域特性は、効率的な研究開発や実証を行うには最適な環境。同社は、「三重県四日市第3コンビナート内に確保した用地で、成長の礎となる戦略拠点づくりに取り組む」と述べている。

　新工場は、商品の製造・開発の実証工場とし、企業価値を高める集合基地を目指す。再編の第1段階となる今回は、環境・エネルギー分野を対象とする。市場の伸長が見込まれる燃料電池用部材、電子基板用絶縁材料については合理化を進め、増産を図る。また、社会インフラの補修や公表された新計画に関係するトンネル工事用固結剤の生産能力を強化する。

　さらに、新規事業として経済産業省の支援を得た、セルロースナノファイバーの応用技術や用途開発を加速させる。セルロースナノファイバーについては、進行中のパイロットプラントで実証を完了し、次の拡大ステップに入る予定。

　加えて、今後需要が増加する、次世代電池の新素材開発を進める計画もある。工業用薬剤メーカーとして、まず国内市場で優位性を持つ商品開発に努め、海外展開への基盤を築く。市場動向を確認しながら、いわゆる「マザー工場」としての機能を順次高めていく、としている。

【新工場の概要】

〔工場名〕四日市事業所霞工場

〔所在地〕三重県四日市市霞1－23－2、23－5

〔敷地面積〕10万㎡

〔従業員〕約100名（予定）

〔総投資額〕約120億円（建物、設備）

〔生産品目〕機能性樹脂材料および電子材料関連製品

〔操業開始〕2015年9月（一部・予定）

 

株式会社　紙業タイムス社　「Future2/17号」より