日本製紙はこのほど、上質塗工紙の代表銘柄、『オーロラコート』の品質を改良するリニューアルを行った。省電力型UV印刷への適性を向上させたもの。
枚葉印刷市場では、小ロットかつ短納期のニーズが増加しており、これに伴い省電力型UV印刷機の導入が進んでいる。UV印刷とは、紫外線を照射することにより硬化乾燥するUVインキを使用して行う印刷のことで、油性インキに比べて乾燥が早いメリットがある。また省電力型UV印刷とは、従来型のUV印刷に対し、高感度UVインキと省電力UVシステムを組み合わせた新しいUV印刷の総称。従来型のUV印刷用インキに比べて油性インキに近い仕上がりを実現するインキが開発され、印刷用紙を中心とする商業印刷への導入が飛躍的に増加している。印刷機メーカーは省電力型UVシステムの技術革新を進めているが、一般的に省電力型UV印刷は、低温時における専用インキのタック(粘り気)が油性インキに比べて大きく上昇するという特徴があり、特に表面に光沢を持たせたグロス系塗工紙は紙の平滑性が高い分、冬場を中心にピッキング(紙むけ)のトラブルが発生しやすいという問題があった。
そこで日本製紙は、印刷機メーカーや印刷資材メーカーの協力を得ながら、『オーロラコート』の品質改良に着手。表面強度を上げることでピッキング耐性を向上させ、省電力型UV印刷を想定した品質を実現した。また、表面強度を上げると油性インキが乾燥しにくくなるという課題も克服し、油性印刷、UV印刷、双方の印刷条件で適応する用紙にした。
株式会社 紙業タイムス社 「Future11/3号」より