日本製紙は、かねて高機能茶『サンルージュ』の商品開発を進めているが、このほど九州大学（立花宏文教授）との共同研究により、『サンルージュ』の抗メタボリックシンドローム効果を確認した。

　メタボリックシンドロームは、内臓脂肪型肥満に加えて、高血圧、高血糖、脂質異常のうちいずれか2つ以上を併せ持った状態をいい、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病などの引き金となる。近年は、中高年だけでなく子どものメタボリックシンドロームも増加するなど、健康維持の国民的課題となっている。

　一方、緑茶成分は、脂質代謝改善や肥満防止など、いわゆる抗メタボリックシンドロームに効果があることが明らかになりつつあり、世界的にも注目されている。そこで日本製紙は、九州大学とともに『サンルージュ』のメタボリックシンドロームの抑制効果を検証。その結果、『サンルージュ』は主要緑茶51品種の中で、「デンプンなどの多糖類をブドウ糖へ分解する消化酵素α－グルコシダーゼの阻害効果」が最も高いことがわかった。「やぶきた」の2.4倍、最も低い「さきみどり」と比較した場合は18.4倍の効果を示した。

　またマウスを用いた試験では、「やぶきた」と比べて糖負荷後の血糖値の上昇を最大で18％抑制し、さらに「高血糖の指標となるHOMA-IR（インスリン抵抗性）の悪化」と「体脂肪の蓄積」を優位に抑制することが確認できた。

　『サンルージュ』は、光独立栄養培養による日本製紙の独自技術「容器内挿し木技術」を用いて、農業・食品産業技術総合研究機構野菜茶業研究所と共同で育成した、植物由来機能性成分、アントシアニンを多く含む新しい茶品種。緑茶に含まれるカテキン成分とアントシアニンの相乗効果によって抗疲労・ストレス作用の効能が得られ、眼精疲労改善効果を有する高機能茶として期待されている。

　今回確認された『サンルージュ』の機能について、日本製紙は九州大学と共同で、さらにヒトでの効果確認を進めるとともに、市場開拓にも積極的に取り組むとしている。

 

株式会社　紙業タイムス社　「Future4/13号」より