リンテックグループは、ハイバリアフィルムの技術を応用し、台湾の工業技術研究院(Industrial Technology Research Institute＝ITRI)と共同で、有機ELを用いたフレキシブルディスプレイの製造プロセス開発を進めていくことを決めた。今年完成したリンテック研究所の新棟(埼玉県さいたま市)で7月30日、台湾経済部技術處長・傅偉祥氏も同席のもと、約50名が参加し共同研究契約調印式が行われた。

　リンテックは以前から、ガラスと同等の高い水蒸気遮断性と透明性を持ちつつフィルムならではの柔軟性を兼ね備えたハイバリアフィルムの開発を進めてきた。すでにPETフィルムベースのバリアフィルムとしては業界最高水準の性能を実現し、次世代ディスプレイ向けなどを中心に製品提案している。今回は、この技術をITRIが開発を進めるフレキシブル有機ELディスプレイの製造プロセスに応用し、共同でプロセス技術の確立を目指していくことに合意したもの。

　有機ELを用いたフレキシブルディスプレイは、台湾や韓国を中心にシートtoシートプロセスでの量産化が現実味を帯びてきている。ITRIは台湾の科学技術振興のための技術開発や、ライセンス契約などによる民間企業への技術移譲を推進する、台湾経済部所管の政府系研究機関で、同プロセス技術の確立に向けた開発も積極的に進めてきた。リンテックは今後、インラインでフィルム表面にハイバリア層を形成するための要素技術をITRIに提供する。

　リンテックグループでは、台湾における半導体・光学関連など先端ビジネスの戦略拠点であるリンテック・アドバンスト・テクノロジーズ（台湾）社を中心に、同地域での新規市場開拓に注力している。今回のITRIとの関係構築を機に、「さらにほかの研究分野でも連携強化を図り、次なる成長の柱となる事業の早期立ち上げを目指していきたい」としている。

 

株式会社　紙業タイムス社　「Future10/5号」より