ともに静岡県富士市に本社工場を置く興亜工業と春日製紙工業は9月25日、両社が手がけている更紙事業の共同取組みに向けた検討を行うことで合意した、と発表した。更紙は雑誌の本文用紙として広く使われ、中でも印刷せんか紙と呼ばれる色を付けたラフ更は嵩が出やすく裏抜けが少ないため、マンガ雑誌の本文として多用されている。
更紙は、戦後生まれの団塊の世代が少年期だった昭和30年代に産声を上げた少年マンガ誌とともに成長、数百万部単位の発行部数を誇る雑誌が林立していた1980~90年代に需要のピークを迎えた。しかし今世紀に入ってからは少子化やデジタル化の影響が顕在化、マーケットは縮小局面に入っている。
両社は、この点について「出版印刷用紙市場は少子高齢化や人口減、他メディアへのシフトを主因に縮小傾向が続いている」としたうえで、「保有する生産設備の稼働率低下により、再生産可能な収益の確保は年々厳しさを増している」と説明、「このような環境変化に対応すべく、両社は継続的な品質維持と安定供給のため相互に協力し、共同の取組みに向けた検討を行う」としている。
具体的には生産性の向上を目的とした相互OEM生産、コスト削減を目的とした共同原料調達や共同配送について検討する。また協議する中で、相互にメリットを最大限生かせると判断できる場合には「共同事業の立ち上げも検討」するという。
両社の概要は次の通り。
〔興亜工業〕▽所在地;富士市比奈1286-2▽代表者;甘艸保之▽事業内容;段ボール原紙、更紙の製造▽資本金;23億4,300万円▽設立;1941年5月
〔春日製紙工業〕▽所在地;富士市比奈760-1▽代表者;大塚 昇▽事業内容;家庭紙、更紙、模造紙、アルバム台紙などの製造▽資本金;2億250万円▽設立;1939年3月
株式会社 紙業タイムス社 「Future10/12号」より