＝紙パの第2四半期業績②＝

　前号に続き、紙パ関連各社の第2四半期（2017年4～9月）決算を紹介する。以下、連結ベース、単位100万円、（　）内は対前年同期増減率、〈　〉内は前年同期の実績値。

【製紙会社】

●日本製紙

〔第2四半期〕

　売上高 513,882 （＋8.2％）

　営業益   5,096 （△51.4％）

　経常益   6,801 （△49.6％）

　当期益   5,105 〈△3,871〉

〔通期予想〕

　売上高 1,050,000 （＋5.8％）

　営業益   15,000 （△36.9％）

　経常益   18,000 （△33.3％）

　当期益   8,000 （△4.8％）

○紙・パルプ事業…売上高は前年同期比＋8.3％の増収となったが、営業利益は古紙をはじめ原燃料高などの影響を受け、約15.5億円の損失。洋紙は総じて低調で販売量は前年割れ。家庭紙関連の販売量は増加。また、昨年９月に営業を開始した日本ダイナウェーブパッケージング社や、昨年10月に営業を開始した日本東海インダストリアルペーパーサプライを前年度より連結範囲に含めたことから、これらの売上げが増収に寄与した。

○紙関連事業…売上高は前年同期比＋7.2％、営業利益は同＋51.9％。液体用紙容器は口栓付き紙容器の上市や新規顧客の開拓もあり、果汁飲料、野菜飲料向けを中心に販売量が増加。溶解パルプ、化成品の販売量も前年同期を上回り、機能性フィルムは新規開発品の上市が増収に寄与した。

○木材・建材・土木建設関連事業…売上高は前年同期比＋7.4％、営業利益は同△18.5％。

　通期予想は、5月に公表した前回予想を、売上高を除き利益の全段階で下方修正した。修正幅（単位100万円）は、営業益△15,000、経常益△12,000、当期益△7,000。2Qは、古紙価格が想定より2割程度上昇したことや、印刷用紙の価格修正時期が2Q末までずれ込んだことなどから、営業利益・経常利益が前回予想を下回った。下期は印刷用紙・板紙の価格修正効果を見込んでいるものの、2Qの業績動向や、古紙価格の高止まりなどを想定した結果、利益が前回予想を下回る見込み。

【紙加工】

●ニッポン高度紙工業

〔第2四半期〕

　売上高 8,512 （＋15.9％）

　営業益 957 （＋556.2％）

　経常益 935 〈△111〉

　当期益 773 〈△70〉

〔通期予想〕

　売上高 16,800 （＋11.3％）

　営業益 1,500 （＋196.7％）

　経常益 1,500 （＋335.5％）

　当期益 1,200 〈△454〉

○コンデンサ用セパレータ…汎用インバータなどの産業機器やエアコン用インバータなどの中高圧品向け、車載分野での各種ECU用などの低圧品向けが好調に推移し、売上高は前年同期比＋18.3％。

○電池用セパレータ…売上高は前年同期比＋2.5％。

○パルプ…売上高は前年同期比＋16.3％。

　通期予想は、5月に公表した前回予想を全段階で上方修正した。修正幅（単位100万円）は、売上高＋1,100、営業益＋560、経常益＋580、当期益＋540。主力のコンデンサ用セパレータが、引き続き堅調に推移すると見込まれるため、上方修正したもの。

●ハビックス

〔第2四半期〕

　売上高 6,486 （＋2.5％）

　営業益 672 （△5.8％）

　経常益 677 （△4.0％）

　当期益 509 （＋3.3％）

〔通期予想〕

　売上高 13,435 （＋7.0％）

　営業益 1,191 （△17.2％）

　経常益 1,172 （△19.5％）

　当期益 819 （△21.5％）

○不織布関連事業…売上高は前年同期比△3.2％、セグメント利益は同＋8.2％。パルプ不織布原反は、収益性向上のため一部のおしぼり向け製品の販売を減らしたことや、ドリップ吸収シートの販売が減少したことなどにより、減収減益。パルプ不織布加工品はクッキングペーパーの増販により増収増益。化合繊不織布は一部製品の販売を停止したため減収となったが、生産効率改善により増益。

○紙関連事業…売上高は前年同期比＋11.9％、セグメント利益は同△11.8％。衛生用紙は、前年度に増設した海津工場の生産設備が順調に稼働し、紙おむつ向け製品などの衛生材料向け製品の販売が堅調に推移したことなどにより増収となったが、円安などの影響で原燃料価格が上昇し、利益は減少。

 

＝王子ホールディングス＝

2Q決算短信の公表を延期

　王子ホールディングスは、2018年3月期第2四半期決算短信の公表を延期する。2013年3月期決算で企業結合時に評価した植林資産の払出に関する会計処理について、最近になって疑義が呈され、会計監査人と見解が一致していないため。

　その内容については現在、精査を進めており、精査の結果次第では過年度に遡って財務諸表を訂正する可能性も生じている。訂正する場合は、公表済みの純利益が最大で70億円程度減少する見込みだが、同社では「2018年3月期第2四半期の連結損益に与える影響は極めて軽微」と見て、現時点での連結業績を「見通し」として発表した。以下、単位100万円、（　）内は対前年同期増減率。

〔第2四半期見通し〕

　売上高 718,367 （＋3.7％）

　営業益 26,568 （△21.1％）

　経常益 24,320 （＋89.6％）

　当期益   16,658 （＋100.7％）

〔通期予想〕

　売上高 1,500,000 （＋4.2％）

　営業益   75,000 （＋6.4％）

　経常益   64,000 （＋25.0％）

　当期益   37,000 （＋1.2％）

　売上高は増収となったものの、営業益は原燃料高などの影響もあり減益。経常益は為替差損の減少により増益となった。また当期益には、当初3Q以降に予定していた固定資産売却を2Qに実施したことに伴う売却益も織り込まれている。

○生活産業資材…売上高は前年同期比＋5.1％、営業損益は原燃料価格の高騰により△2億円の損失。段原紙、段ボールの販売量は前年より増加。白板紙・包装用紙も国内を中心に好調で販売量が増加。紙おむつはベビー用が減少したが、大人用は増加。家庭紙販売量も増加。海外事業は、段原紙、段ボールともに堅調で、紙おむつの販売量は大幅増。

○機能材…売上高は前年同期比＋3.2％、営業利益はコスト削減効果などにより同＋20.4％。特殊紙は国内販売、輸出販売ともに増加、感熱紙の国内販売はほぼ前年並み。海外事業は、感熱紙販売が南米で堅調。

○資源環境ビジネス…売上高は前年同期比＋11.4％、営業利益はパルプ市況の上昇などにより同＋56.9％。パルプの販売量は増加。エネルギー事業も堅調で売電量は前年並み。海外事業もパルプ、木材ともに好調。

○印刷情報メディア…売上高は前年同期比△3.2％、営業損益は原燃料高により△26億円の損失。新聞用紙は減少、印刷・情報用紙は販売量は前年並みだったが市況軟化で減収。海外事業は販売量が増加。

 

＝紙パの第3四半期業績②＝

　前号で掲載したコクヨに続き、12月期決算企業の第3四半期（2017年1～9月）を紹介する。以下、連結ベース、単位100万円、（　）内は対前年同期増減率。

【紙加工】

●ザ・パック

〔第3四半期〕

　売上高 62,209 （＋0.8％）

　営業益 4,434 （＋21.1％）

　経常益 4,654 （＋18.5％）

　当期益 3,095 （＋27.7％）

〔通期予想〕

　売上高 91,000 （＋2.0％）

　営業益 6,700 （＋3.3％）

　経常益 7,000 （＋2.6％）

　当期益 4,700 （＋3.5％）

○紙加工品事業…売上高は前年同期比＋2.6％、営業利益は同＋13.4％。主力の紙袋は、ザ・パック単体は前年並みだったが、西日本印刷工業と中国子会社が堅調で売上高は微増。紙器も食品用パッケージが堅調に推移したほか、Eコマースの販売拡大に注力し増収。段ボールも、メーカー向けや通販会社への販売が好調で増収。印刷は減収。

○化成品事業…国内専門店向けが低調だったが、紙おむつ用製品が好調で売上高は前年同期比＋1.0％、営業利益は同＋30.3％。

○その他…売上高は前年同期比△5.6％だったが、営業利益はコストダウンなどにより同＋7.8％。

●ダイナパック

〔第3四半期〕

　売上高 36,195 （＋8.7％）

　営業益 406 （△18.1％）

　経常益 703 （△9.3％）

　当期益 1,365 （＋319.7％）

〔通期予想〕

　売上高 49,700 （＋6.7％）

　営業益 1,060 （＋4.2％）

　経常益 1,370 （△4.3％）

　当期益 1,920 （＋67.6％）

　国内の段ボール販売量は堅調に推移、特に衛生用品などが前年を大きく上回ったことなどにより、全体として前年同期比＋4.0％。しかし、主原材料である段ボール原紙価格が8月以降大幅に上昇したことにより、利益面は減益となった。セグメント別の業績は、包装材関連事業は売上高が前年同期比＋10.1％、セグメント利益が同△8.9％、不動産賃貸事業は売上高が同＋0.8％、セグメント利益が同＋1.6％。

 

株式会社　紙業タイムス社　「Future１１/２７号」より