2008年に起こった古紙パルプ配合率の乖離問題を機に、業界団体の日本製紙連合会(製紙連)が中心となって取りまとめた再発防止策の一つ(なお古紙パルプ“等”と表記しているのは、同じように配合率の表示を求められるケースの多い非木材パルプを念頭に置いている)。従来の古紙パルプ配合率は、もっぱら製紙会社の自己申告によって製品に表示され取引されてきたが、その正確性を担保するための仕組みが欠けていたとの反省の上に立って、新たに設けられたのがこの検証制度である。これにより、①製紙会社は取引企業からの求めに応じて品質管理の責任者名を明示したうえで、古紙パルプ配合率を証明する文書を発行する ②取引企業はこの文書を検証する必要を認めた場合、製紙工場に立ち入り古紙パルプの使用状況を調査できる ③製紙連会員の製紙会社は、この立ち入り検査のために必要なチェックリストを共有する ④製紙会社と取引企業は、このチェックリストを基本として相互に事実関係を確認する ⑤製紙会社は社内の監査システムにより、このチェックリストを用いて定期的に内部監査を行う─などの厳格な仕組みが定められた。
⑤で監査を行う担当者のチェック項目としては*消費している古紙パルプの種類と量、在庫管理など *古紙パルプ処理設備のフロー(工程図)と生産能力 *工場内損紙の取り扱い *管理体制とそれを示す文書の確認、などがある。この検証制度は08年7月から正式に運用されており、すでに多くの製紙会社が内部監査を実行したうえで「問題なし」と報告している。
出典:「知っておきたい紙パの実際2009」株式会社紙業タイムス社