王子グループは、経営環境の急激な変化への対応と持続的な成長のため、事業構造の転換を経営戦略の中心に掲げ、グループ経営力の強化を進めている。このほどその一環として、抄紙機の再稼働や停止などの諸施策を、次の通り決めた。
①王子マテリア富士工場(抄紙機の再稼働と停止)
効率的な生産体制構築と環境負荷低減のため、富士第一工場のN-1号抄紙機(2011年停止)を改造・再稼働して中芯原紙を生産する。稼働時期は14年7月(予定)。再稼働後の生産能力(中芯)は16.7万t/年。これに伴い富士第二工場の10号抄紙機(中芯原紙、17.3万t/年)を14年7月に停止する。
②王子エフテックス東海工場富士宮製造所(抄紙機停止)
需要に見合った生産体制を構築するため、白板紙・その他板紙を製造する抄紙機2台を停止し、白板紙製品の生産・販売を王子マテリアへ移管する。停止するのはB-1号抄紙機(白板紙、4.1万t/年)とB-2号抄紙機(白板紙・その他板紙、2.9万t/年)。停止時期は14年9月(予定)。なお同製造所の既存水力発電設備を活用した発電事業については検討を進めていく。
③感熱紙の生産集約
王子製紙日南工場で生産している感熱紙の生産を王子イメージングメディア神崎工場およびOji Paper(Thailand)に移管し、日南工場の3号コーター(感熱紙、1億5,400万㎡/年)、4号コーター(感熱紙、4億2,500万㎡/年)を停止する。停止時期は14年10月(予定)。
以上の施策に伴う固定的費用を中心としたコスト削減額は、年間約50億円。同社では「今後も常に先行して事業構造の転換を進めていく」としている。設備停止に伴い、14年3月期決算で事業構造改善費用を特損計上するが、業績予想に変更はない。
株式会社 紙業タイムス社 「Future1/27号」より