(一社)全国清涼飲料連合会(=全清飲)はこのほど、「清涼飲料業界のプラスチック資源循環宣言」を発表した。2030年度までにPETボトルの100%有効利用を目指す。「『混ぜればごみ、分ければ資源』の考え方のもと、資源循環型社会の形成を目指し、海洋ごみゼロ世界の実現に尽力していく」考え。
日本におけるPETボトルの17年度リサイクル率は84.8%。業界の取組みもあって、米国の20.1%(16年度)、欧米の41.8%に比べて極めて高い。しかし、海洋プラスチックが社会問題化する中、改めてプラスチックの資源循環に対応すべく、今回の宣言を制定したもの。宣言では、基本的考え方として「食の安全と技術的可能性及び経済性を考慮しつつ、使用資源の3Rに努め、回収のさらなる向上を推し進める」ことなどを明文化すると同時に、短期(20年度)・中期(25年度)・長期(30年度)取組みの方向性を示した。
20年度を最終年度とする短期取組みでは、啓発活動と広報強化のほか、リサイクル率85%以上と04年度比リデュース(軽量化)25%(17年度実績23.9%)を目指すことや、バイオマスプラスチックなど代替素材活用への取組み推奨などを掲げた。直近ではこの12月から、自動販売機での空容器散乱防止に向けた取組みを開始。空容器回収ボックスの異物混入実態などを調査する実証実験を、12月中旬から19年2月中旬まで東京都内で実施する。
実証実験では、自販機の回収ボックスを「自販機専用空容器リサイクルボックス」へ名称統一し、PETボトル専用と缶びん専用の2種類(写真)を設置。容器入口に「PET ボトル専用入口」「缶びん専用入口」を明記し、分別回収・散乱防止の啓発ステッカーを貼付した上で、空容器の散乱状況や異物混入状況を調査する。
また、続く中期取組みでは、「国や地域との協働による、より効率的な回収システム構築」「ポイ捨て防止条例強化要請」「再生材・代替素材の積極的な活用推進」を、長期取組みとしては「PETボトル100%有効利用を目指した業界の姿勢・取組み」、「日本の回収・リサイクルシステムの価値と根拠を定量的かつサイエンスベースで示し、諸外国への波及を目指した関係団体との協働」を掲げている。
株式会社 紙業タイムス社 「Future12/24号」より