甲府盆地の南に位置する、市川三郷町（市川大門）と身延町（西嶋）の和紙関係企業は共同で、市川和紙と西嶋和紙を含む山梨県の和紙ブランドの総称として、新たに「甲州和紙」を立ち上げた。
　市川大門と西嶋の和紙の歴史は古い。市川和紙は奈良時代から始まったと言われ、また両者とも戦国時代の武田家の保護のもと発展した。市川大門は現在でも日本一の障子紙の生産地とされており、西嶋の和紙は書道用半紙や画仙紙を中心に発展してきた。しかし、日本三大和紙と言われる美濃和紙・土佐和紙・越前和紙に比べると、市川和紙と西嶋和紙は、歴史は長いものの知名度は低い。障子紙や書道用半紙の需要が減少する中、今後の生き残りをかけた新しい取組みが必要となっている。そこで今回、市川大門・西嶋を中心とする和紙の総称として、「甲州和紙」の名前を設定したもの。今後は、甲州和紙の認知向上を目指し、新たな“甲州和紙”らしさを追求した製品づくりにチャレンジするほか、定期的にイベントを開催し、国内だけでなく世界にも発信していく。
　なおイベントの第1弾として、市川大門の一秀製紙工場、金長特殊製紙、山一和紙工業、西嶋の山叶製紙、山十製紙および手漉和紙職人の宮本重男氏が参加し、東京・日本橋の小津ギャラリーで記念イベントが開催された（1月10～15日）。
 

株式会社　紙業タイムス社　「Future2/7号」より