大王製紙と北越コーポレーションはこのほど、戦略的業務提携に向けて具体的な検討を開始することに合意した。今後は、5月頃の契約締結を目指し協議を進める。両社の独立性と健全な競争関係は維持しつつ、各々の強みを活かして補完し合うなどの取組みを検討していく。
　大王製紙と北越コーポレーションはこれまで、いったん結んだ総合技術提携契約を解消した経緯があるが、関係改善に向けてトップマネジメント間の面談も含め、意見交換を重ねてきた。2023年9月には両社間で秘密保持契約を締結し、「生産技術」「原材料購買」「製品物流」などの取組みテーマを設けて、分科会レベルでの初期的検討・協議を重ねてきたという。今回の業務提携の主な取組み対象は次の通り（概略）。
①生産技術…▽生産性･品質向上、原価低減の技術協力▽OEMなど生産協力体制の構築▽遊休品などの相互活用▽機械修理･設備保全に関する情報交換▽工場運営に関する情報共有
②原材料購買…▽原材料調達プロセスの効率化▽木材チップ調達の協力体制構築▽原材料の相互融通▽海外植林事業のノウハウ共有
③製品物流…▽両社グループの物流網活用▽両社の生産拠点間のラウンド輸送▽コンテナ有効活用▽物流倉庫の相互活用、共同配送
　また中長期的には、新技術などの共同研究やエネルギー転換、DX推進、森林資源活用などのテーマについても検討を進めていく。
■両社の概要
【大王製紙】▽21年3月期～23年3月期売上高（単位100万円）：562,928→612,314→646,213▽大株主（上位3名）：北越コーポレーション24.8％、日本マスタートラスト信託銀行7.4％、大王海運5.0％〈23年3月末時点〉
【北越コーポレーション】▽21年3月期～23年3月期売上高（単位100万円）：222,454→261,616→301,204▽大株主（上位3名）：美須賀海運11.2％、日本マスタートラスト信託銀行7.9％、MLI FOR CLIENT GENERAL OMNI NON COLLATERAL NON TREATY-PB 7.1％〈23年3月末時点〉
　なお、北越コーポレーションは昨年12月、大王製紙と事業上の関係が深い大王海運グループが北越コーポレーションの株式を買い集めたことをきっかけに、買収防衛策を発表するなど大王海運との間で対立を深めていた。12月25日に大王海運とグループ会社の美須賀海運が連名で四国財務局に提出した大量保有報告書によると、大王海運の北越コーポ株保有割合は8.56％。美須賀海運と合わせて合計18.56％の北越コーポ株を保有している。今回の大王製紙と北越コーポレーションの連名によるリリースでは、この点に関する言及はない。
 

株式会社　紙業タイムス社　「Future3/4号」より