王子ネピアは今年9月をもって国内の子ども用紙おむつ事業から撤退する。現在、名古屋工場で年間4億枚の子ども用紙おむつを生産しているが、9月で生産を終了する。
王子グループは事業ポートフォリオの転換を目指し、収益性・成長性の高い事業に投資を集中させており、子ども用紙おむつの国内事業終了はこの戦略に基づくもの。市場の成長が続く海外(マレーシア、インドネシア)については、引き続き同事業の継続・拡大を図る一方、国内では成長が見込まれる大人用紙おむつを強化する。また主力の家庭紙は、環境負荷低減商品や利便性向上のための商品の開発に努め、事業を拡大する。
ベトナムの紙器会社を買収
王子ホールディングスは、子会社の王子マネジメントオフィスを通じ、イムラと共同でベトナムの紙器製造販売会社SONGLAM TRADING AND PACKAGING PRODUCTION JOINT STOCK COMPANY(=SLP社)の株式を一部取得する。3月に株式売買契約を締結しており、株式譲渡は5月下旬の予定。所有割合は王子マネジメントオフィス25%、イムラ55%の計80%となる。取得価額は非開示。
王子グループは海外事業の拡大を事業構造改革の大きな柱の一つと位置づけ、特に経済成長著しい東南アジアでは積極的な展開を図っている。今回は、中でも高い成長が見込まれるベトナムにおいて、パッケージ分野で20年以上の経験を持つSLP社を買収し、事業拡大を進める。SLP社はハノイ市クアンミン工業団地にあり、23年12月期の売上高は2,468億3,500万VND(14億8,000万円)。
PIF契約を締結
王子ホールディングスは、三井住友信託銀行をアレンジャーとして、シンジケーション方式のポジティブ・インパクト・ファイナンス契約を締結した。
ポジティブ・インパクト・ファイナンス(=PIF)とは、企業活動が環境・社会・経済にもたらすインパクト(ポジティブな影響とネガティブな影響)を包括的に分析・評価して資金提供する融資メニュー。企業の活動、製品、サービスによるSDGs達成への貢献度合いを評価指標とし、開示情報に基づいてモニタリングを行い、エンゲージメントを通じて活動を支援していくことが特徴。
なお、今回のシンジケートローンに参加する貸付人は、日本銀行の「気候変動対応を支援するための資金供給オペレーション」による資金供給を受ける予定。
グループ税務方針を制定
王子グループはこのほど、「王子グループ税務方針」を定め、○税務ガバナンス、○税務コンプライアンス、○税務リスク管理、○移転価格、○タックスプランニング、○税務当局との関係性についての基本方針を明確にした。
株式会社 紙業タイムス社 「Future4/15号」より