紙パ関連企業の第1四半期連結業績(10年4~6月)を紹介する(単位:100万円。カッコ内は前年同期比)。
●巴川製紙所
〔第1四半期業績〕
売上高 10,814 (+8.5%)
営業益 1,009(+481.1%)
経常益 932(+541.0%)
当期益 604 (約11.2倍)
〔通期業績予想〕
売上高 44,000 (+4.3%)
営業益 2,300 (+66.0%)
経常益 1,950 (+61.9%)
当期益 1,100(+182.0%)
主力事業であるプラスチック材料加工分野で、フラットパネルディスプレイ(FPD)関連製品や半導体関連製品の受注が増加するとともに、化成品(トナー)も堅調に推移したことから、前年同期に比べ8億4,300万円の増収となった。利益面でも主力製品の受注が着実に回復、比較的収益性の高い製品群の出荷が増加したことなどから、営業利益は同8億3,500万円、経常利益は同7億8,700万円の増益。また当期利益は5億5,000万円の大幅増益となった。セグメント別の業績は以下の通り。
○プラスチック材料加工事業…売上高74億8,500万円(+14.9%)、営業利益9億4,900万円(+432.8%)。
○製紙・塗工紙関連事業…売上高33億400万円(▲3.7%)、営業利益3,900万円(前年同期は▲3,200万円の損失)と黒字を回復。受注に持ち直しの兆候が見られるものの、一部製品がライフサイクルの衰退期を迎えていることから、売上高は微減となった。利益面では減収の影響を受けたものの、収益改善対策を推進した結果、営業損益は前年同期に比べ7,100万円改善した。
●北越紀州製紙
〔第1四半期業績〕
売上高 55,099 (+33.3%)
営業益 2,024 (▲11.7%)
経常益 3,376 (+73.9%)
当期益 2,287(+158.6%)
〔通期業績予想〕
売上高 220,000 (+13.4%)
営業益 7,500 (▲24.2%)
経常益 8.500 (▲11.2%)
当期益 6,000 (▲17.1%)
国際競争力の強化を主眼に製品輸出拡大に取り組んだ結果、大幅な増販ができ、また09年10月からグループに紀州製紙とその子会社が加わったこともあって、大幅な増収となった。
損益面では営業利益が2桁の減益だったものの、各種コストダウン効果や紀州製紙とその子会社の利益が加わったこと、さらに負ののれんの償却などにより、経常利益と当期利益は大幅に増加している。主なセグメント別の業績は次の通り。
○紙パルプ事業…売上高474億5,900万円(+30.9%)、セグメント利益15億7,200万円(▲18.2%)。
○パッケージング・紙加工事業…売上高54億5,200万円、セグメント利益5,700万円(セグメント変更により前年同期との比較はできない)。
●三菱製紙
〔第1四半期業績〕
売上高 53,379 (▲2.2%)
営業益 610 (-)
経常益 254 (-)
当期益 ▲1,346 (-)
〔通期業績予想〕
売上高 225,000 (+2.4%)
営業益 6,000(+41.1%)
経常益 4,000(+50.4%)
当期益 1,500 (-)
国内では主力製品の印刷用紙に緩やかな回復傾向が見られるものの、需給バランス改善に向け引き続き減産を実施した。インクジェット用紙で輸出向け販売数量の増加があったものの、写真用原紙・印画紙は需要が低調のまま推移。この結果、前年同期比で売上高は微減となった。損益面ではコストダウン効果が大きく、経常段階では前年同期に比べ9億900万円改善した。
ただし純損益段階では、資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額を特別損失に計上したこともあり、純損失となった。セグメント別の業績は次の通り。
○紙・パルプ事業…売上高450億9,800万円(▲5.0%)、セグメント利益2億5,500万円。チラシ・カタログ・パンフレットなど商業印刷向けの印刷用紙需要が緩やかに回復。販売数量は前年同期を上回った。一方、輸入紙の影響を受け、市況は弱含みで推移した。市販パルプは、国際市況の高騰から輸出向けが大きく増加し、数量は前年同期を上回った。
○イメージ&ディベロップメント(I&D)事業…売上高119億4,500万円、セグメント利益2億5,900万円(セグメント変更で前年同期と比較できず)。インクジェット用紙は輸出向けを中心に上向いているが、国内向けで一部回復が遅れ、販売数量は前年同期並み。写真用原紙・印画紙の販売数量は前年同期を下回った。印刷製版材料は、デジタル関連製品の拡販に努めた結果、販売数量が前年同期を上回った。
●リンテック
〔第1四半期業績〕
売上高 53,331 (+30.2%)
営業益 5,780(+505.5%)
経常益 5,520(+371.1%)
当期益 3,771(+508.8%)
〔通期業績予想〕
売上高 202,000 (+6.7%)
営業益 13,500 (+16.6%)
経常益 13,000 (+15.0%)
当期益 9,200 (+26.3%)
事業環境の好転を背景に国内外とも好調に推移、記録的な増収増益を達成した。セグメント別の概況は以下の通り(セグメント変更で前年同期と比較できず)。
○印刷・産業工材関連…売上高221億900万円、営業利益20億3,300万円。「印刷・情報材」では印刷用粘着製品の需要が自動車、家電向け用途で回復し、国内、中国、東南アジアで順調に推移。「産業工材」では太陽電池用バックシートが欧米に加え、アジアで大きく伸長した。「ヘルスケア」は概ね前期並みで推移。
○電子・光学関連…売上高206億8,400万円、営業利益17億2,400万円。「アドバンストマテリアルズ」では半導体業界の活況を受け、関連の粘着製品が大幅に伸長。「オプティカル材」では、液晶テレビやスマートフォン向けに液晶関連粘着製品の需要が引き続き拡大した。
○洋紙・加工材関連…売上高105億3,700万円、営業利益19億6,700万円。「洋紙」では主力の封筒用紙が回復基調で推移したことに加え、工業用特殊紙が堅調に推移。「加工材事業」では、電子部品製造用の剥離紙がスマートフォンなどの需要増加に伴い堅調に推移したほか、光学用剥離フィルムや合成皮革用工程紙も好調に推移した。
●レンゴー
〔第1四半期業績〕
売上高 120,102(+11.5%)
営業益 9,548(+18.6%)
経常益 9,514(+25.3%)
当期益 4,887(+14.7%)
〔通期業績予想〕
売上高 473,000 (+3.4%)
営業益 28,500(▲15.5%)
経常益 27,000(▲14.0%)
当期益 15,000(▲11.7%)
主力の板紙・段ボール製品の販売量が前年同期を上回り、利益面では一層のコスト削減などに取り組んだほか、日本マタイグループ各社の業績が加わったこともあり、前年同期に比べ増収増益となった。セグメント別の状況は次の通り。
○板紙・紙加工関連…売上高917億2,800万円(前年同期比+2.5%)、営業利益85億7,000万円(同+13.7%)。販売量の増加により売上高は前年同期を上回り、利益面では一層のコスト削減などから増収増益を確保した。
○軟包装関連…売上高139億500万円(+1.2%)、営業利益4億200万円(▲0.5%)。減価償却費などの固定費が増加したが、積極的な営業活動を展開したことによる増収で補い、利益は前年並みとなった。
株式会社 紙業タイムス社 「Future 9/6号」より