凸版印刷は、事業活動で使用するエネルギー、資源および排出されるCO2やVOCなどによる環境影響を定量的かつ統合的に評価できる、LIME手法を取り入れた環境影響評価を開始した。東京都市大学・伊坪徳宏准教授の協力を得て実現したもので、印刷業界では初めての施策となる。
LIME手法とは、日本の国家プロジェクトとして提唱されている網羅的な環境影響評価方法。従来の評価手法は、温暖化などにおける特定分野への影響を単独で評価していたが、LIME手法では健康や生物多様性などさまざまな分野への影響を評価し、それらを基礎として環境影響を統合化し網羅的に算定する。したがって、LIME手法に基づく評価を導入することにより、従来の省エネや化学物質管理の諸施策に統合的な重み付けを与えることができ、事業分野ごとに施策の重点を変えるなど、より効果的な環境影響低減の活動につなげられるようになる。
今後、凸版印刷では06年度をベンチマークとして統合化した環境影響および環境影響に対する売上高を指標化した環境効率について継続的に評価を行い、その結果に基づいて施策を立案し、環境負荷の低減を図る。また今回導入した事業活動全体の評価と、製品のLCAを同軸で評価できるシステムを2010年度中に確立し、より効率的な施策の実施を目指す。
さらに、環境配慮型製品の販売拡大を目指し、食料品や家電の包装材から雑誌や本などの出版印刷物、液晶テレビの部材であるカラーフィルタなど、各事業分野における主力製品群を対象として、評価範囲を広げていく考え。
株式会社 紙業タイムス社 「Future 9/27号」より