日本製紙は10月22日、低米坪で圧倒的な高不透明度を実現した微塗工紙『プリズム』を発売した。
　微塗工紙のように米坪の低い紙は、印刷物の軽量化やコストダウンを図るのに有効だが、一方で、米坪が低いと不透明度も低く裏抜けしやすいという問題がある。日本製紙には、ユーザーから「A2コート紙84.9g／㎡並みの不透明度があると裏抜けの心配がなく安心して使用できる」という声が多く寄せられており、低米坪と高不透明度の両立は製品開発の課題だった。そして、「安心不透明度提供紙」と位置づけた微塗工紙の開発が始まった。目標はA2コート紙84.9g／㎡品並みの不透明度、すなわち「不透明度約90％」である。こうして生まれたのが『プリズム』だ。
　『プリズム』の最大の特長は、ラインアップされた４米坪（45g／㎡、48g／㎡、51g／㎡、54g／㎡）すべてで不透明度90％をクリアしたこと。90％を実現した背景には、従来とは異なる“逆転の設計思想”がある。通常は、紙の白紙光沢度と白色度を一定に保ち、米坪の上昇とともに不透明度が上がるというのが一般的だが、『プリズム』はまず全米坪の不透明度を90％に統一し、白紙光沢度、白色度の方を変動させるという思想で作られている。この設計思想も特徴の一つと言えるだろう。
　日本製紙では、１枚もののチラシから、パンフレットやページ数の多いカタログ、フリーペーパー、DMなど幅広い分野での採用を期待しており、また、海外展開にも意欲を見せている。日本以外でも使えるように米坪はセンター値を設定して一定範囲のプラス／マイナスで管理。計算重量ではなく実重量方式で取引する海外地域でも扱いやすくしている。
 

株式会社　紙業タイムス社　「Future　11/15号」より