日本製紙連合会の集計による11月の紙・板紙国内出荷は前年同月比+2.8%の227万tとなり、11ヵ月ぶりにマイナスだった前月から再びプラスに転じた。うち紙は同+2.5%の130.3万tで、6月以来5ヵ月ぶりのプラス。板紙は+3.2%の96.7万tで、前月のマイナスからプラスに復帰している。
一方、紙・板紙のメーカー輸出は▲5.5%の8.6万tで、こちらは3ヵ月連続の前年割れ。うち紙は▲11.4%の7.7万tで、新聞用紙を中心にアジア向けの減少から3ヵ月連続のマイナス。他方、板紙は絶対量は少ないものの2.1倍の9,000tと、段ボール原紙を中心にアジア向けの増加により13ヵ月連続のプラスとなっている。
これに対して紙・板紙の生産は+0.5%の227.7万tで、うち紙が+0.4%の132.9万t、板紙が+0.6%の94.9万tだった。
この結果、紙・板紙の在庫は前月比▲7.9万t(紙▲5.1万t、板紙▲2.8万t)の190.6万tとなり、紙・板紙とも前月の増加から減少に転じた。
以下、主要品種の概況である。
<印刷・情報用紙>国内出荷は前年同月比+3.8%の74万t。年末商戦に向けたチラシなどの需要増もあり、3月以来8ヵ月ぶりのプラスを記録。他方、メーカー輸出は▲4.1%の6.9万t。主力の塗工紙は前月の微減からプラスへと盛り返したが、全体では2ヵ月連続のマイナスとなっている。
<板紙・包装用紙>板紙の国内出荷は、家電エコポイント制度変更前の駆込み需要や、猛暑による天候不順の影響で遅れていた青果物の一部回復などもあり、段ボール原紙を中心に前月の減少から増加に転じ、段ボール原紙が+2.9%の76.1万t、白板紙が+2.5%の13.4万t。包装用紙は反動増の一巡などから+0.7%の7.1万tと横バイ微増で、回復は足踏み状態にある。
89年のレベル
以上の1~11月集計結果を受けて、製紙連は2010年通年の需給を次のように推計している(カッコ内は前年比)。
<生産>紙1,639.1万t(+3.5%)、板紙1,093.2万t(+4.8%)、合計2,732.3万t(+4.0%)
<国内出荷>紙1,532.6万t(+0.8%)、板紙1,085.3万t(+4.4%)、合計2,617.9万t(+2.3%)
<メーカー輸出>紙110.9万t(+39.3%)、板紙10.2万t(+77.2%)、合計121.1万t(+41.8%)
各指標とも前年実績を上回る見通しだが、生産は93年(2,776.6万t)、国内出荷は89年(2,605.8万t)のレベルにとどまると推計している。逆にメーカー輸出は過去3番目という高水準で、とりわけ紙は過去最高となる見通し。年間の紙輸出量が100万tを超えるのも初めてである。