静岡県の家庭紙メーカー、信栄製紙（黒崎暁社長）はこのほど、「製品価格の修正について（お願い）」と題する文書を取引先に配布、３月21日出荷分からの値上げについて理解を求めた。
　信栄製紙が示した上げ幅は、「現行価格の20％以上」。文書では、「従来から価格修正をお願いし、あらゆる生産コストを総点検して健全かつ安定的な供給への改善を図ってきたが、価格修正が実現できないだけでなく、さらに下落している」現状を説明。値上げの理由として、①原油をはじめとする原燃料価格の高騰と高止まり　②物流費や包装材料費の値上がり　③原料となる古紙が不足し高値でも手に入らないこと　④原料古紙の品質も劣化しており製品品質維持のため生産コストがかかることなどを挙げている。
　原燃料高と製品価格の下落は同社だけの問題ではなく、今は家庭紙業界全体が窮地に追い込まれているという状況だ。同社によれば、09年４月と10年11月の価格を比較すると、原燃料が平均25％以上アップしているのに対し、製品は逆に約７％のダウン。また、総務省の家計報告によれば、世帯当たりの総消費に占める家庭紙費用は0.1％にも満たない。文書では、今の家庭紙がいかに安すぎるか、また、仮に値上げしても家計への影響はほとんどないことを訴えている。
 

株式会社　紙業タイムス社　「Future　2/14号」より