日本製紙連合会の集計による３月の紙・板紙国内出荷は前年同月比▲5.2％の222.5万tと、東日本大震災の影響により５ヵ月ぶりの減少となった。うち紙は▲9.2％の128.2万tにとどまり、３月としてはリーマンショック後の09年水準を下回る数量。他方、板紙は＋0.9％の94.3万tで、伸び率は鈍化するも５ヵ月連続のプラスを記録した。主要品種は震災関連需要による衛生用紙、段ボール原紙を除き軒並み減少している。
　紙・板紙のメーカー輸出は前年同月比▲18.3％の9.2万tと、７ヵ月連続のマイナス。紙を中心に豪州向けが引き続き減少している。
　紙・板紙の３月末在庫は、被災による6,942tの滅失分を含めて前月比▲7.2万t減の185.1万tとなったが、把握できていない滅失分を加算するともっと少ない。すなわち、この約6,900tは期日までに製紙連に報告があった分で、内訳は紙415t、板紙6,527t。紙の中では新聞用紙、塗工印刷用紙の減失報告がないが、これは被災メーカーで最終的な減失量を把握できていないため。実際には三菱製紙／八戸、日本製紙／石巻・岩沼の各工場を中心に相当量の在庫がダメージを受けている。
　このため３月末在庫は、[前月末在庫＋当月生産－当月出荷(国内販売＋輸出)]の計算式で出される数量とは一致しなくなっている。だが製紙連としては生産と出荷の正確性を重視し、在庫については計算が合わなくなってもやむを得ないと判断、その旨を会員各社に伝達している。また、過去に遡及しての在庫数量訂正も行わないとしている。
　以下、主要品種の動向である。
＜新聞用紙＞国内出荷は前年同月比▲14.0％の26.2万t。主力工場の被災や広告出稿の大幅な減少などもあり、09年２月以来の２桁減を余儀なくされた。
＜印刷・情報用紙＞国内出荷は同▲11.8％の69.9万t。同じく主力工場の被災や震災以降の需要減により、非塗工・塗工印刷用紙、情報用紙とも２桁の落ち込みとなった。輸出は▲14.3％の7.4万tで、塗工紙を中心に６ヵ月連続のマイナス。
＜衛生用紙＞国内出荷は同＋11.0％の18.2万t。こちらは震災関連需要により、２桁増を記録した。
＜板紙・包装用紙＞段ボール原紙の国内出荷は同＋1.5％の74.7万t。伸び率は鈍化したが、被災地支援物資の搬送や飲料向けの増加などもあり、５ヵ月連続のプラス。他方、白板紙は▲2.0％の12.6万tと６ヵ月ぶりにマイナスに転じた。包装用紙は▲4.4％の7.5万tで４ヵ月連続の減少。
 

株式会社　紙業タイムス社　「Future　5/16号」より