東京・北区の紙の博物館では5月27日まで、企画展「紙漉図絵～絵巻・和本にみる紙漉工程～」を同館企画展示室で開催している。今回は『紙漉重宝記』をはじめとして、同館が所蔵する第一級の資料の中から、江戸・明治時代の絵巻・和本を中心に紙漉図絵を一挙に公開。
　展示構成は6章に分けられ、①紙漉大概　②紙漉重宝記　③江戸・明治時代の紙漉図絵　④製紙勤労之図　⑤日本製紙論　　⑥越前紙漉之図、という展示構成。中国で生まれた紙漉きの技術は、朝鮮半島を経て飛鳥時代に日本に伝わったとされているが、その技法が漉き手から漉き手へと直接伝えられた修練の技であり、また門外不出という側面も持っていたことから、技術を伝える資料が少ない。
　このうち『紙漉重宝記』は石見の紙問屋・国東治兵衛が1798（寛政10）年に著したもので、石州半紙の製造全工程を分かりやすく図絵にして解説している。紙漉きの本格的な技法解説書として初の刊本となり、翻訳されて海外にも広まった。期間中はトークショーや紙すき教室など、さまざまなイベントも行われる。開館時間10:00～17:00、月曜日休館。大人300円、小中高100円。電03－3916－2320　Ｆ03－5907－7511　http://www.papermuseum.jp
 

株式会社　紙業タイムス社　「Future　4/9号」より