王子製紙イメージングメディア事業本部はこのほど、インクジェット(=IJ)の画像出力紙基材として、現行品に比べて20%薄手で、インク吸収時に発生するコックリング(波うち)を抑えたセミグロス用紙の新製品『セミグロスプラチナ〈薄手〉』を発売した。
同社は一昨年、コックリングを抑えた紙基材のワイドフォーマット用セミグロスIJ用紙として、『セミグロスプラチナ〈厚手〉』を商品化した。今回の新製品は、これを20%薄手化したもの。これまで難しかった薄手品で、コックリング抑制レベルを維持することに成功した。薄手化により、折り加工適性が向上するほか、最終小巻製品の巻長さを増やせるので、小巻交換比率が下げられ作業性が向上する。また現行品同様、RC(樹脂層コート)品や合成紙品と異なり紙基材なのでリサイクルが可能。
近年はグラフィック用、POP用、写真用、印刷校正用などで、大判用紙に出力する手段として、ワイドフォーマット用IJプリンタが使用されている。ワイドフォーマット用プリンタは用紙に大量のインクを滴下するため、一般に紙基材のIJ用紙ではインク溶媒が紙基材まで浸み込み、コックリングと呼ばれる波うち現象が発生する。このコックリングにより、出力中にIJノズルと用紙がこすれるトラブルがしばしば発生するため、従来よりRC品や、合成紙品あるいは厚手用紙が使用されてきた。『セミグロスプラチナ』は、紙ベースでありながら出力中のコックリングを抑え画像出力できるようになった、業界初の製品。
株式会社 紙業タイムス社 「Future5/28号」より