レンゴーは、レアアースを使用しない新しい蛍光発光体『ガイアフォトン』の開発に成功した。
蛍光体の原料であるレアアースは現在、世界的に価格が高騰し需給が逼迫している。そのため、多くの企業や大学、研究機関がレアアースを使わずに発光する蛍光体を探索している。
『ガイアフォトン』は、希土類元素ではない「銀」を、直径0.74nm(ナノメートル)の穴が規則的に開いたゼオライトの一種であるフォージャサイト型ゼオライトに、イオン交換法を用いて担持させることにより、焼成工程なしで蛍光体化させることに成功したもの。350nm以下の波長の紫外光を照射すると、470~550nmに発光する。また600℃の耐熱性があり、繊維内部にこの蛍光体を含有する蛍光繊維の製造も可能。安全性については、急性経口毒性や皮膚一次刺激性などの安全性試験を、外部機関によって実施済みで、いずれも問題なしとの評価を得ている。
すでに国内外で特許を出願しており、将来的には照明装置や液晶装置用バックライトへの応用のほか、金券やチケット、包装分野における偽造防止技術として活用が期待されている。さらに同社では、銀含有ゼオライトの抗菌・消臭・ウィルス抵抗機能と組み合わせ、ユニークな新素材としても応用開発していく計画。
なおこの技術は、去る5月18日に開催された大阪工研協会の通常総会で、第62回工業技術賞を受賞した。レンゴーはこれまでにも、多孔性セルロース粒子『ビスコパール』(1998年)、ゼオライト高密度結晶化パルプ『セルガイア』(2005年)で同じ賞を受賞しており、今回の受賞は3回目。
また同社では、偽造防止繊維としての研究成果を、7月に開催されるセルロース学会第19回年次大会(名古屋大学・東山キャンパス野依学術交流記念館)で発表する予定。
株式会社 紙業タイムス社 「Future7/9号」より