前号、前々号のメーカー決算に続き、本号では紙流通と紙加工の第1四半期業績（12年4～6月期）を紹介する（連結、単位100万円、カッコ内は前年同期比）。
【紙流通】
●日本紙パルプ商事
〔第１四半期業績〕
売上高 124,975 （▲2.6％）
営業益 1,445 （▲3.0％）
経常益 1,546 （▲9.7％）
当期益 ▲566 （ － ）
〔通期業績予想〕
売上高 526,000 （＋3.0％）
営業益 7,000 （＋29.3％）
経常益 7,000 （＋28.1％）
当期益 2,100 （▲29.2％）
1Qは、売上高が国内販売の減少により前年同期比▲2.6％、営業利益は不動産賃貸事業の減収などにより同▲3.0％、経常利益は受取配当金の減少などの影響により同▲9.7％となったほか、当期純損益は投資有価証券評価損の計上により赤字となった。主なセグメントの概況は、国内卸が販売減のため前年同期比▲4.3％の減収となったが、経常利益は販管費の減少で同＋1.2％。在外卸は米国・中国の子会社増加で売上高が同＋2.4％の増収だったが、経常利益は金融費用の増加などで同▲35.9％だった。
●平和紙業
〔第１四半期業績〕
売上高 4,954 （＋4.5％）
営業益 24 （＋199.3％）
経常益 40 （＋66.0％）
当期益 ▲263 （ － ）
〔通期業績予想〕
売上高 20,300 （＋0.3％）
営業益 230 （＋0.7％）
経常益 250 （▲11.6％）
当期益 ▲230 （ － ）
顧客ニーズに沿ったサービス力を結集し、持続的な収益の創出を最重要課題として取り組んだ結果、売上高はファンシーペーパーを除く5品目（ファインボード、高級印刷紙、ベーシックペーパー、技術紙、その他）で前年同期を上回った。ファンシーペーパーについては、企業の制作予算縮小や出版物のデジタル化の影響で減収だった。利益面では、営業・経常利益は増益となったものの、投資有価証券売却損および同評価損の特損計上により当期純損益は赤字となった。
●共同紙販ホールディングス
〔第１四半期業績〕
売上高 4,340 （▲1.0％）
営業益 2 （ － ）
経常益 12 （▲46.4％）
当期益 7 （▲65.3％）
〔通期業績予想〕
売上高 18,710 （＋6.1％）
営業益 159 （＋37.1％）
経常益 156 （＋30.4％）
当期益 130 （＋331.7％）
大震災で被災した東北地区製紙メーカーの工場が復旧し、商品の供給体制は整ってきたが、安価な輸入紙の流入や需要低迷により、売上げは低調。利益面は、利益率が若干低下したものの、販管費の削減により利益確保に努めた。
●セキ
〔第１四半期業績〕
売上高 2,942 （＋0.2％）
営業益 57 （▲25.3％）
経常益 116 （＋3.4％）
当期益 71 （▲1.3％）
〔通期業績予想〕
売上高 12,816 （＋2.0％）
営業益 584 （＋5.4％）
経常益 726 （＋9.2％）
当期益 408 （＋13.2％）
主力の印刷関連事業は、企業の広告宣伝費の削減傾向が続いて印刷需要が落ち込み、減収減益となった。洋紙・板紙販売関連事業は、前年同期が震災で落ち込んだのに対し、当1Qは回復して大幅に増収増益となった。出版・広告代理関連事業は、既存メディアとの競争が激化する厳しい環境下、減収となり営業損益は赤字となった。
【紙加工】
●トーモク
〔第１四半期業績〕
売上高 28,585 （＋5.7％）
営業益 ▲558 （ － ）
経常益 ▲388 （ － ）
当期益 ▲175 （ － ）
〔通期業績予想〕
売上高 150,000 （＋8.0％）
営業益 8,000 （＋16.7％）
経常益 7,900 （＋11.0％）
当期益 4,100 （＋5.1％）
段ボール事業は、一部に震災の影響が見られたものの全体として堅調に推移、生産量は前年同期比微増。また、原材料価格の引き上げを受けてコスト削減や製品価格維持に取り組んだ結果、同事業は増収増益となった。顧客ニーズに対応するため新たにEフルート設備を導入し、省電力化のため工場内照明のLED化を進めている。
●スーパーバッグ
〔第１四半期業績〕
売上高 8,180 （＋4.9％）
営業益 ▲52 （ － ）
経常益 ▲50 （ － ）
当期益 ▲22 （ － ）
〔通期業績予想〕
売上高 34,500 （＋2.7％）
営業益 550 （＋323.1％）
経常益 500 （＋254.6％）
当期益 280 （ － ）
紙製品事業は、主力の紙袋の販売量が増加し増収となったが、営業利益は原材料価格の上昇を販売価格修正で補えず減益。化成品事業も販売量の増加により増収となり、営業利益については売価修正ができず利益率は低水準だったが、売上増のため増益となった。
●昭和パックス
〔第１四半期業績〕
売上高 4,609 （▲1.9％）
営業益 162 （▲31.2％）
経常益 203 （▲30.9％）
当期益 96 （▲48.1％）
〔通期業績予想〕
売上高 19,500 （＋3.0％）
営業益 860 （＋10.5％）
経常益 920 （＋3.1％）
当期益 595 （＋22.9％）
全般的な出荷量の減少で減収となった。また利益も、原材料の値上がりや、減価償却費の増加などによる原価率上昇、販売管理費比率の上昇があり、全段階で減益。中核事業である重包装袋部門の主力製品、クラフト紙袋の売上数量の減少幅が、業界全体の減少幅より大きかった。同社のシェアが高い合成樹脂用途が落ち込んだことが響いている。
●大石産業
〔第１四半期業績〕
売上高 4,397 （＋0.1％）
営業益 223 （＋2.4％）
経常益 245 （▲2.4％）
当期益 108 （▲21.5％）
〔通期業績予想〕
売上高 17,500 （＋3.6％）
営業益 680 （＋11.0％）
経常益 900 （＋6.3％）
当期益 450 （＋8.7％）
環境に配慮した製品を提供するなど、提案営業を積極的に推進して既存分野の維持拡大と新規顧客の獲得に努めると同時に、業務の効率化、コスト削減を推進した。
●野崎印刷紙業
〔第１四半期業績〕
売上高 4,157 （▲0.2％）
営業益 69 （＋77.5％）
経常益 68 （＋60.6％）
当期益 33 （＋204.9％）
〔通期業績予想〕
売上高 17,400 （＋1.2％）
営業益 200 （＋254.0％）
経常益 200 （＋254.6％）
当期益 202 （▲24.6％）
包装資材および紙器、紙工品部門の売上高は、包装資材が取引先の在庫抑制などで減少したが、紙器類は設備投資効果などで増加、全体でも前年同期を上回った。商業印刷部門はカタログ・パンフレット類が回復し高級美術印刷も堅調なため増収となったが、情報機器およびサプライ品部門とその他部門が減収だった。
●中央紙器工業
〔第１四半期業績〕
売上高 3,292 （＋5.4％）
営業益 339 （▲8.1％）
経常益 352 （▲8.6％）
当期益 214 （▲2.9％）
〔通期業績予想〕
売上高 13,000 （＋1.1％）
営業益 1,250 （▲12.0％）
経常益 1,280 （▲12.9％）
当期益 760 （▲8.5％）
既存顧客への積極的な包装提案や、震災復興需要などにより増収となったものの、原材料の値上りなどにより、利益は減益。セグメント別では、「日本」は包装提案による販売活動が実を結んで増収、「中国」も主要取引先である電気・機械関連への販売が手堅く推移し増収となったが、利益はいずれも前年割れ。
●ニッポン高度紙工業
〔第１四半期業績〕
売上高 2,868 （▲25.8％）
営業益 290 （▲52.5％）
経常益 237 （▲60.1％）
当期益 38 （▲89.6％）
〔通期業績予想〕
売上高 12,870 （＋5.1％）
営業益 720 （＋4.0％）
経常益 750 （＋8.2％）
当期益 470 （＋47.9％）
主力のセパレータ事業は、コンデンサ用セパレータが、コンデンサ業界での実需を超えた生産活動により高い受注レベルとなった前年同期に比べ、世界的な薄型テレビ・パソコンなどの販売低迷で本格的な受注回復に至らず、大幅な減収減益となった。
●大村紙業（非連結）
〔第１四半期業績〕
売上高 1,306 （＋5.1％）
営業益 108 （＋55.9％）
経常益 110 （＋54.4％）
当期益 64 （＋122.4％）
〔通期業績予想〕
売上高 5,207 （＋3.7％）
営業益 407 （▲0.3％）
経常益 410 （▲2.2％）
当期益 213 （＋14.0％）
段ボール業界全体の生産量が前年並みで推移する中、同社の生産量は段ボールシートが前年同期比＋2.9％の1,500万㎡、段ボールケースが同0.5％減の1,000万㎡だった。
