凸版印刷は、ハイバリア紙製カップ『エコフラットカップ』に、アルコール充填が可能な新グレードを追加、9月初旬から本格販売を開始した。すでに黄桜の日本酒ブランド『黄桜 辛口一献』『黄桜 純米辛口一献』に採用されている。
　2011年発売の『エコフラットカップ』は、“紙製”というエコ素材でありながら、高いバリア性と無菌充填により、長期保存を可能にしたカップ。 新製品は、フタの部分をドーム型に改良することで、内容物の温度変化による容器内の空気収縮をフタが吸収。これによりカップの変形が抑制され、殺菌のため高温充填が必要なアルコール飲料に対応できるようになった。
　焼酎、清酒、果実酒などの炭酸を含まない酒類の市場規模は約1兆5000億円（2011年）。また最近はペットボトルやパウチなど、環境に配慮した容器での製品が増加している。アルコール飲料は殺菌のために高温充填が必要であり、また充填後の冷却に加え、低アルコール製品は店頭で冷やして販売される商品が多い。このため、大きな温度変化で容器内の空気の体積が収縮してカップが変形してしまうという問題があった。 しかし『エコフラットカップ』は、フタに減圧変形吸収構造を設けることによりこの問題を解決、温度変化に対応できるようになった。
　また、透明蒸着ハイバリアフィルム「GLフィルム」でカップ全体を覆う方式を採用したことや成形加工技術により、密封性を高めて作りたての味わいを長期間保持させることに成功。さらに、フタ材には易開封シーラントフィルムを採用し、開封性も向上。フタを開封した後の口元部分の紙の毛羽立ちを抑えて飲みやすくした。
　凸版印刷では、アルコール飲料業界全般に向けに拡販し、2015年度に関連受注を含め30億円の売上げを目指す。

株式会社　紙業タイムス社　「Ｆｕｔｕｒｅ9／24号」より