特種東海製紙はこのほど、放射性物質の除去および拡散防止に有効なゼオライト不織布『TT-除染シートSC』を発売した。販売は新生紙パルプ商事が行う。
同社は今春、ゼオライトを固着させた不織布の開発に成功し(本誌5月7日号既報)、以降、性能評価を繰り返してきた。今回発売した『TT-除染シートSC』は、不織布と不織布の間にゼオライトを均一に固着させたもので、ゼオライト単体で使用した場合と比較して、約80%のセシウム吸着能力を維持することが実証試験で確認されている。
セシウムを吸着するゼオライトは、原発事故で飛散した放射性セシウムの回収と拡散防止のため、吸着材としての研究開発がさまざまな所で進められている。特種東海製紙が開発したシートは、陸水中の放射性セシウムを分離・濃縮するゼオライトディスクとして、すでに福島大学で利用されているほか、一部地方自治体の震災瓦礫焼却最終処分場でも、安全のためのバックアップシートとして採用される運びとなっている。
同社では、このほかにも多数の要望が寄せられていることを受けて、安定生産による製品化および一定の販売の目途が立ったことから、当初の予定を繰り上げて販売を開始するもの。
『TT-除染シートSC』の特徴は、○放射性セシウムを製品内部に吸着し閉じ込める ○用途に応じた不織布を選択できる ○製品表面からのゼオライト粉末の脱落が起こりにくい ○柔軟性が高くあらゆる施工に対応可能 ○枚葉やロール形状で提供でき、断裁、折りたたみ、プリーツなどの加工が可能など。用途としては、土壌や汚染水の放射性セシウムを除去するシートやフィルターのほか、中間貯蔵施設や瓦礫焼却灰の最終処分場で放射性物質の漏出に備えたバックアップシートなどへの応用が可能。
同社では、今後も用途や仕様に合わせた製品開発を行っていくとしている。
株式会社 紙業タイムス社 「Future11/12号」より