日本製紙グループの桜井㈱は、2012年4月から試験販売してきた遮熱粘着フィルム『CoolCal（クールカル）』を、12月10日に本格発売した。

　昨今は電力不足や燃料費高騰、夏場の温度上昇などの対策として、遮熱シートや遮熱塗料、遮熱建材などへの関心が高まっている。インクジェットメディアや各種粘着フィルムを取り扱う同社では、このような背景から最近は地球環境・省エネに配慮した製品開発を積極化させている。

　本格販売を開始した『CoolCal』は、その一環で開発された、主としてトラック車両向けの遮熱粘着フィルム。塩ビフィルムへ遮熱顔料を均一に混ぜ込むことで、太陽光の熱線を効率よく反射し、温度上昇を抑制する機能を持たせた。冷凍・冷蔵車や保冷車などのトラック車両の天板に貼り付けて利用し、荷室庫内の温度上昇を抑えられる。

　今夏の試験販売では、14社の冷凍車・保冷車約30台の協力を得て、4ヵ月間にわたって遮熱効果の実地テストを行った。その結果、次のような結果が得られた。

①保冷車…庫内温度の上昇を6～13℃抑制。

②冷凍・冷蔵車…鮮度を保持するためにあらかじめ冷凍・冷蔵車の荷室庫内を冷やしておく予冷時間を大幅に短縮でき、かつ燃費が1割以上改善された。

　桜井ではこれらのテスト結果を受けて、冷凍・冷蔵車30万台、保冷車30万台と言われるトラック物流向けに拡販を進めていく考え。これまでの遮熱は塗料によるものが一般的だったが、施工に時間がかかりトラックの稼働に支障が出ることから、施工するトラックの数はそれほど多くなかった。しかし、糊付シートの『CoolCal』は、短時間で簡単に貼り込むことができ、トラック車両の天板のみで遮熱効果が得られることから、施工台数の拡大が期待できる。

　同社では、「今後もさまざまな企業ニーズに応じ、地球環境・省エネルギーに配慮した製品開発に取り組む」としている。

 

株式会社　紙業タイムス社　「Ｆｕｔｕｒｅ1/7号」より