向け蒸気抜きパッケージ
凸版印刷はこのほど、電子レンジ調理時の安全性を高めた冷凍・チルド食品向け蒸気抜きパッケージを新発売した。
パッケージのまま電子レンジで調理する食品は、電子レンジで加熱すると袋内部の温度が高まり、パッケージ内部に蒸気が発生する。この蒸気の圧力による袋の破裂を防止するため、これらのパッケージには蒸気を逃がす工夫が必要となっている。
凸版印刷の新製品では、レーザー加工でパッケージに微細な孔を空け、内部の蒸気を逃がすようにした。レーザー加工を用いた冷凍・チルド食品向け蒸気抜きパッケージは業界初で、独自開発のフィルム成形・加工技術により、調理時に微細な蒸気孔が成形される仕組みとなっている。パッケージのまま電子レンジで調理できるのが特長。積層されたフィルムのうち、基材となるフィルムにのみ孔が空けてあり、電子レンジ加熱時に、食品に密着する内側のフィルム(シーラント)が蒸気で伸張し、やがて裂けることにより、孔がパッケージの内外を貫通するようになっている。パッケージの内圧が高まり過ぎることなく徐々に蒸気を逃がすので、加熱完了後に食品を取り出す際のやけどのリスクも低減される。また蒸気孔が微細で、かつ蒸気孔の位置を自由に設定できるので、スープスパゲティやリゾットなど、水分の多い食品の液垂れ防止効果も期待できる。また、内側フィルムのシーラントには柔軟なポリエチレン(LLDPE)を使用。電子レンジで調理するまでシーラントには孔が貫通しないため、内容物の衛生性を保持し、異物混入も防止できる。
生活スタイルの変化とともに、冷凍食品の需要は高まっており、凸版印刷によれば、その市場規模は2011年に約4,000億円。同社では、以前から電子レンジ加熱時の内圧で蒸気口から蒸気を逃がす蒸気抜きパッケージを開発し、冷凍食品やチルド食品などで数多く採用されてきた。しかし、それらの包装材料は蒸気が抜けやすいように孔を大きく設計してあるため、パッケージの破袋を防止できる一方、加熱調理後に取り扱う際に蒸気でやけどする恐れがあった。今回の新製品は、こうしたリスクを低減し安全性が高まっている。また前述したように、水分の多い食品への展開も期待できる。
また、食品メーカーで蒸気孔を成形する場合、これまでは充填ライン上に専用の設備導入が必要だったが、新製品はレーザーで事前に蒸気孔を成形した状態でパッケージを納品できるため、新たな設備導入が不要というメリットもある。凸版印刷では、同製品で2015年度5億円の売上げを目指す。
株式会社 紙業タイムス社 「Future9/2号」より