凸版印刷はこのほど、プリンテッドエレクトロニクス(=PE)分野での微細印刷技術として、導電性材料を使い、線幅とその間隙をそれぞれ10μm(マイクロメートル=10のマイナス6乗メートル)で形成する印刷技術を確立した。この技術により、線幅10μmの直線、曲線、文字やマークなどを形成し、これらを組み合わせて複雑な描画を大きな面積で印刷できるようになる。
プリンテッドエレクトロニクスとは、印刷技術を利用して電子回路などのエレクトロニクス製品を生産することを言い、スマートフォンなどのモバイル機器、特にタッチパネル画面の引出し配線で、この技術が活用されている。現在、PE技術を利用したタッチパネル分野では、線を示す「ライン」と線と線の間である「スペース」を、それぞれ70μmで形成する技術が実用化されており、さらに線幅約30μmが研究段階で試作されているが、今回凸版印刷が確立した技術では、この約3分の1の線幅で微細印刷が可能となる。さらに、導電性を有した線が形成できるという特長もある。同社は、これらの特長を活かしてPE以外の分野への応用も検討しており、例えば偽造防止用途に応用した場合、描画された線や文字に導電性を持たせることで、画像の目視と電気特性を併用したチェック機能を持たせることが考えられる。また、ウェアラブル端末に応用した場合、センサーや回路をさらに高密度化・小型化できるようになる。
凸版印刷は、偽造防止技術やウェアラブル端末の回路として研究開発を進め、2017年度までに実用化を目指す考え。
株式会社 紙業タイムス社 「Future2/2号」より