中越パルプ工業の紙製品『里山物語』の取組みが、このほど「日本自然保護大賞」の企業・団体リーダー部門で大賞を受賞した。

　日本自然保護協会が主催する日本自然保護大賞は、昨年創設された顕彰制度で、自然保護と生物多様性保全に貢献する取り組みを表彰するもの。今年は、日本で自然保護憲章が制定されて40周年の節目の年でもあり、同協会では「この賞を通して、自然保護と生物多様性の保全をより積極的に推し進め、自然と人の暮らしの調和のとれた地域や社会づくりの推進を目指す」と述べている。

　中越パルプ工業の『里山物語』は、日本の森と里山を守り、人と生物を育む紙として、2009年から販売している環境対応用紙。今回の受賞は、『里山物語』が①日本の森を守り、②里山と生物多様性を守る仕組みを構築したことが評価された。この２つの仕組みの概要は次の通り。

①健全な森林保全のため、環境省の「森林認証材・間伐材に係るクレジット方式運用ガイドライン」に基づいて証明書付間伐材を購入。製紙原料に実際に配合しない製品でも、使用したと見なすクレジット方式を採用し、間伐材100％を配合したと同等の効果を得られるようにした。販売する分の間伐材は必ず購入することになり、製紙業界随一の間伐材活用で、森林保全に貢献している。

②日本各地で荒廃が進む里山を守るため、『里山物語』の販売価格の一部に寄付金を付加し、里山を有効活用している団体の活動を支援する仕組みをつくった。寄付金は里山保全再生ネットワークと協業し、かつての経済価値を失った里山を守るために、新たな価値や用途で持続的に里山を活用する団体を支援しようと、選定基準を定めて運用している。

 

株式会社　紙業タイムス社　「Future3/2号」より