大日本印刷(=DNP)はこのほど、植物由来の原料で作られた「DNPバイオマスプラスチック包材 バイオマテック」シリーズのフィルムを使用して『DNP電子レンジ包材』を開発、業界初の植物由来原料による環境対応電子レンジ用包装材として、5月から販売を開始した。
DNPは、環境負荷が低く持続可能性に配慮した包装材を積極的に開発しており、2012年には植物由来原料(サトウキビから砂糖を精製した後の廃糖蜜)を一部に使用した「バイオマテックPETフィルム」を世界に先駆けて開発。他方、電子レンジ用包材では、スーパーなどで販売されている袋の状態のまま電子レンジで加熱できる包装材を開発、2003年から市場に提供してきた。
そして今回、植物由来原料によるバイオマスプラスチックを使用した低密度ポリエチレン(LDPE)フィルムの開発に成功し、業界で初めて全層にバイオマスプラスチックを使用した電子レンジ用包装材を発売したもの。新製品は、インキや接着剤を除くすべてのフィルム層に植物由来の材料を用いることにより、容器全体で最大約60%のバイオマス度を達成している。 また、水蒸気や酸素に対するバリア性が必要な食品については、「DNPバイオマスプラスチック包材 バイオマテックIB-PET」フィルムを使用するなど、内容物や充填機に応じた仕様設計ができる。ピロー袋の形状に加工したものやフィルムのロール状での提供が可能。
DNPの電子レンジ用包装材シリーズの一つ、ピロー袋形状のアンタッチスルーCタイプは、電子レンジでの加熱時に発生する熱と圧力を利用して、パウチの蒸気口が自動的に開口し、水蒸気を逃がして破裂を防ぐ仕組みを持つ。パウチのシール部の一部に特殊樹脂をコーティングしており、高温になると特殊樹脂が軟化して開口する設計で、通常温度では完全に密封されている。
DNPは今後、食品や飲料、日用品などのメーカーに提供する包装材を可能な限りバイオマテックシリーズに切り替えると同時に、海外メーカーのバイオマテックシリーズへの関心も高いため海外市場にも積極展開していく方針。また、紙容器や成型品など多様な形態の包装材にも応用していくとしている。2017年度までに同製品で売上高3億円を目指す。
株式会社 紙業タイムス社 「Future6/11号」より