特許庁はこのほど、世界知的所有権機関(WIPO)が提供する、特許の出願・審査情報(ドシエ情報)共有ネットワーク「WIPO-CASE」(Centralized Access to Search and Examination)に正式参加したことを発表した。これにより、WIPO-CASE参加18ヵ国の特許庁が、日本の特許庁の審査結果を参照できるようになり、海外の現地日本企業へのハイレベルな権利付与が期待される。
経済のグローバル化を背景に、複数国で同一の特許が出願されるようになる中、日本は、世界の特許出願件数の約8割を占める日米欧中韓の五大特許庁(5庁)でドシエ情報を共有するITサービス「ワン・ポータル・ドシエ(OPD)」の開発を主導し、2013年から5庁間でドシエ情報を共有してきた。
一方、世界知的所有権機関(WIPO)は、WIPO-CASEを開発し、2011年以降イギリス、オーストラリア、カナダなどの中規模特許庁を中心にドシエ情報の共有を開始、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポールといったASEAN諸国にも共有範囲を拡大させてきた。
日本は、ドシエ情報の共有ネットワークを拡大するべく、WIPOと協同プロジェクトを立ち上げ、OPDとWIPO-CASEとの連携を主導してきたが、今回、ネットワーク連携のためのシステムが確立し、また、情報共有のための規約などが整備されたことから、WIPOへの正式参加を表明したもの。なお、5庁のうちWIPO-CASEに参加しているのは、日本のほかに中国と韓国。
株式会社 紙業タイムス社 「Future8/3号」より