＝紙パの第1四半期＝

　前号に続いて、製紙関連企業の第1四半期（4～6月）業績を紹介する。以下、数値は連結ベース、単位100万円、（　）内は対前年同期増減率、〈　〉内は前年同期の実績値。

●中越パルプ工業

〔第1四半期〕

　売上高 23,507 （△5.1％）

　営業益 △530 〈前期327〉

　経常益 △479 〈前期324〉

　当期益 △352 〈前期149〉

〔通期予想〕

　売上高 105,000 （＋3.8％）

　営業益 1,900 （＋16.9％）

　経常益 1,800 （＋2.9％）

　当期益 850 （△47.2％）

　中長期成長戦略プラン「ネクストステージ50」に基づき、食品容器分野を中心とする高級白板紙・加工原紙の新規需要開拓、グループ製袋事業の発展強化、エネルギー事業への参入、生産体制の見直しを含めた抜本的なコスト削減対策、セルロースナノファイバーの研究開発を進めている。当期は、販売価格の復元による増益効果はあったものの、販売数量減や円安に伴う原料価格の高騰という減益要因に加え、主力工場の長期点検停止を行った影響もあり、前年同期と比べて損益は大幅に悪化した。

○紙・パルプ製造事業…前年同期比△4.8％の減収となり、営業損益は赤字。「新聞用紙」「包装用紙」「特殊紙・板紙および加工品等」は販売量・金額ともに前年同期を下回った。「印刷用紙」は販売量が前年割れとなったものの、金額はほぼ横ばい。

○紙加工品製造事業…前年同期比△3.3％の減収となったが、営業利益は固定費の削減により同＋40.5％の増益。

○発電事業…売上高は前年同期比△2.1％、営業利益は同△9.2％。天候不順により川内工場唐浜メガソーラー発電所の発電量が減少した。

●特種東海製紙

〔第1四半期〕

売上高 19,742 （＋0.2％）

営業益 1,298 （＋52.8％）

経常益 1,425 （＋49.1％）

当期益 879 （＋102.8％）

〔通期予想〕

売上高 81,000 （＋2.7％）

営業益 3,700 （＋49.3％）

経常益 3,650 （＋32.2％）

当期益 1,400 （＋583.1％）

　特殊素材事業では新規偽造防止技術の確立、技術融合型機能紙の開発を進めており、産業素材事業では再建中のチップサイロが6月に一部完成し、ある程度安定的に木質チップを供給できる体制が整った。今後このサイロを順次拡張させ、10月を目処に仮復興に伴うコスト増加をゼロとする計画。また、島田工場で木質チップとRPFを燃料とした新バイオマスボイラーの建設に着手した。

○産業素材事業…主力の段ボール原紙は加工食品向けが低調に推移し、販売量が前年同期を下回った。クラフト紙は、季節需要商品の販売量が減少。一方、2月に更新工事が完了した赤松水力発電所が利益に寄与した。

○特殊素材事業…特殊機能紙はプレミアム付商品券の需要を取り込み、販売量が前年同期を上回った。特殊印刷用紙は出版向けの需要減少などにより前年割れ。

○生活商品事業…ペーパータオルは、キメ細かな営業活動などにより販売量が前年同期を上回り、販売価格はほぼ横ばいで推移した。トイレットペーパーは販売量が伸びたことに加え価格修正効果もあり、増収となった。

●巴川製紙所

〔第1四半期〕

　売上高 8,396 （＋4.2％）

　営業益 104 （＋30.0％）

　経常益 97 （＋14.8％）

　当期益 25 （△82.8％）

〔通期予想〕

　売上高 35,000 （＋2.6％）

　営業益 700 （＋276.6％）

　経常益 700 （＋46.8％）

　当期益 300 （＋515.2％）

　洋紙関連など既存製品の市場縮小や、電気・電子材料分野で減収があったものの、トナー関連の海外需要の底堅さと円安効果、連結対象子会社の増加により、増収となった。最終段階の減益は、前年同期にグループ企業再編に伴う持分変動利益1億9,000万円が計上された影響による。

○プラスチック材料加工事業…電気・電子材料分野でディスプレイ関連など最終製品動向の変化による減収があったものの、トナー関連では海外需要の底堅さと円安の恩恵があり、さらには連結対象子会社が増加したため売上高は前年同期比＋8.7％の増収。利益面では、収益性が高い製品の販売が減少したものの、増収効果に加え前期4Qにおける一過性の収益悪化要因が解消されたため、セグメント利益は同＋98.6％の大幅増益となった。

○製紙・塗工紙関連事業…洋紙関連など既存製品の市場縮小に加え、円安を背景とする調達コストの増加もあり、売上高は前年同期比△2.9％の減収、セグメント損益は△6,500万円の損失計上となった。

 

 

株式会社　紙業タイムス社　「Future9/14号」より