大王製紙が鳥取大学医学部と共同開発した大人用紙おむつ『アテント Sケア長時間安心パッドダブルブロックタイプ』（業務用）、『アテント 男性に1枚安心巻かずに使えるパッド』（市販用）の技術に関する特許第5621066号（鳥取大学と大王製紙が権利共有）が、2015年度中国地方発明表彰で「鳥取県発明協会会長賞」を受賞した。

　大人用紙おむつ市場では、介護負担を軽減するため、紙おむつの交換頻度を減らせる「長時間用尿とりパッド」の需要が伸びているが、長時間用パッドは、男性の場合や座位・側臥位の状態で排尿した場合、尿が臀部方向に拡散しにくく、腹側・股間部からあふれモレる現象が発生していた。

　大王製紙はこの課題を解決するため、2010年10月から鳥取大学医学部と共同開発に取り組み、世界で初めてX線CTスキャンを用いて尿の拡散状況を検証。その結果、吸収体中央部にスリット（拡散ポケット）と立体ギャザーを設ける設計（特許5621066号）により、スピーディーに尿を拡散し股間部からのモレおよび交換頻度を減らせることを実証した。同社では、この特許技術を取り入れた『アテント Sケア長時間安心パッドダブルブロックタイプ』を昨春から、『アテント 男性に1枚安心巻かずに使えるパッド』を昨秋から販売している。

　今回、中国地方発明表彰で表彰されたのは、中山敏（鳥取大学）、陶山淑子（同）、藤井香織（同）、西浦伸忠（㈱ニシウラ）、大島彩（エリエールプロダクト）の5名。大王製紙グループで商品開発を担当する大島氏は、「栄誉ある賞をいただき大変光栄。介護の現場で頑張っている方々と利用者に喜んでもらえる商品を作りたいと思い、開発に取り組んできた。開発中、『もうダメかもしれない』と思うたびに、鳥取大学の皆様、西浦社長がさまざまなアイデアを考えて下さり、お互いの考えをぶつけ合うことで、画期的な商品ができたと思う」と受賞の喜びを語った。大王製紙は、「（大島氏の受賞は）当社が女性活躍を推進していることの成果の一つ。今後も女性をはじめ多様な人材が活躍し、イノベーションの創造につながる環境・風土作りを推進していく」と述べている。

 

株式会社　紙業タイムス社　「Future11/9号」より