世界自然保護基金ジャパン(=WWFジャパン)はこのほど、「企業の温暖化対策ランキング」プロジェクトの第4弾として、「小売業・卸売業」の日本企業54社の調査結果を発表した。
それによると、総合点はイオン(61.1点)が1位となり、以下ローソン(57.3点)、日立ハイテクノロジーズ(54.5点)、キヤノンマーケティングジャパン(53.8点)と続いた。全21指標のうち、特に重要な7指標(長期ビジョン、削減量単位、省エネ目標、再生可能エネ目標、総量削減目標の難易度、ライフサイクル全体での排出量把握・開示、第3者による評価)について見ると、1位となったイオンは「ライフサイクル全体での排出量把握・開示」、「第3者による評価」で満点を獲得した。なお、全54社のうち、2016年に環境報告書類の発行がない25社は評価の対象から除外し、残りの29社について評価を行った。
小売業・卸売業全体の平均点は34.5点で、過去の3業種(電気機器48.7点、輸送用機器46.7点、食料品44.8点)を大きく下回る結果となった。過去3業種では、1位の企業はいずれも80点を超えていたが、小売業・卸売業では1位のイオンでも60点台前半であり、長期目標(ビジョン)を掲げている企業は1社もなく、総量および原単位の両方で排出削減目標を掲げる企業も1社もなかった。また、再生可能エネルギーの導入目標を立てている企業も1社にとどまった。
業界全体の特徴として、環境報告書類を発行している企業が少なく、今回、環境報告書類を正式に作成していたのは、全54社のうち21社だった(これ以外に8社がアニュアルレポート類を環境省などのガイドラインを参考に作成しているため計29社を評価対象とした)。なお、過去3業種は9割前後の企業が環境報告書類を作成していた。一方で、自社の温室効果ガスの排出量データに対し、第3者機関による保証を受けている企業の割合は34%(29社中10社)と高めで、排出量データの信頼性を高める取組みは過去の3業種よりも進んでいた。
株式会社 紙業タイムス社 「Future7/24号」より